タグ： 89目 島崎兄弟

20代のころに記憶を全て失った元陸上自衛隊員。記憶を失ってしまった原因は覚えておらず、その後遺症は今なお続いている。 自分の置かれた現実、弟を名乗る見知らぬ人物、窮屈な生活。彼は社会復帰を強いられ生きる気力を失っている中、リハビリを続けた。 何のために生きているのかもわからないのに。 次第に彼はふさぎこむようになってしまい、必要な時以外は喋らず、一人を好むようになった。 アメリカ出身だが、記憶を失ってからずっと日本で暮らしているため英語は話せない。 元陸上自衛隊員だったため、友人を名乗る人たちからの声掛けで同じ職に戻ることにしたのだが、サトシにやる気はないし、続けていける自信もない。 銃砲所持許可証を所持しているため今回のサバイバルツアーにはショットガンを持ち込んでいるが、もちろん意味もなく発砲することはない。 彼は『家族』を理解できない。『愛』を理解できない。『生』を理解できない。 だからこそ彼は自分を変えたいと思っている。 『家族』を理解したい。『愛』を理解したい。『生』を理解したい。 記憶のない二十数年。リハビリを続けた十数年。無駄にしたくはない、したくはないのに、彼はどこかで『死』に憧れている。 唯一の家族を名乗る弟、『島崎 聖司』とはよく話す。彼に弟を理解することはできないが、少なくとも10年以上リハビリに付き合ってくれていたこともあり、他人だとは思っていない。 休日にはよく聖司と一緒に射撃場へ行っていた。お互い寡黙な性格なためか、静かな時間が過ごせるということもあり、彼はこの時間がかなり好きだった。聖司が裏組織に所属し、殺人を行なっていることは知らない。 ◆◆ サトシは人間ではない。「島崎聖司」の兄、「島崎智司」の形を真似たただの化け物である。しかし彼は自分のことをずっと人間だと、聖司の兄だと思い続けてきた。それも今ではただの勘違いでしかなかったのだ。 彼が化け物と入れ替わってしまった理由は、弟が両親を撃ち殺した現場に居合わせてしまったからだった。 両親はともに有名なスポーツ選手だったのだが、智司にはその才能がなかった。弟の聖司は両親の期待に応えクロスボウ選手として才能を開花させたというのに。智司は両親からの酷い兄弟差別、暴言を浴びせられ続け精神を病み、自傷癖を発症した。 そんな智司を、聖司だけは尊敬し慕ってくれた。市民を守るために自衛隊員として一生懸命働く智司に憧れていた。そんな聖司を、智司もとても大切に思い可愛がっていた。だからこそ聖司は、智司を追い詰める両親を徐々に恨み始めるようになる。 智司が25歳、聖司が16歳の時。ついに聖司は両親をクロスボウで撃ち殺してしまった。智司は血みどろのリビングにたたずむ聖司を見て、発狂した。 『自分のせいで弟が罪を犯した。自分のせいで両親が死んだ。自分のせいで自分のせいで自分のせいで自分のせいで自分のせいで！』 強い精神的ショックを受けた智司は家を飛び出し気分を落ち着かせようと、とある孤島へと向かった。しかし彼はそこでクリーチャーに襲われ命を終えてしまう。クリーチャーは彼の姿を模した子を産み落としたのだった。 その後智司.......否、サトシは智司の記憶、言語能力を引き継ぐことなく弟の元へと帰ったのだった。 聖司は、警察のザル捜査と所属していた裏組織の協力により無罪放免。しかし大好きな兄への罪悪感は感じているため、サトシのリハビリにずっと付き合い続けている。本当は、兄弟ですらないのに。 サトシはこの過去について主治医から、“両親が亡くなってしまったショックで記憶を失ってしまった”とだけ聞かされているが、正直両親のことは一切覚えていないため悲しくもなければ寂しくもない。むしろ、「そんな過去なら忘れてよかった」とすら思っている。もちろんだが、犯人が弟の聖司だということも知らない。 ◇◇ 自身が「島崎智司」ではないと気づいたサトシは聖司に智司の手紙と同時にそのことを伝えた。 「本当の兄は既に他界している」 全てを理解した聖司は絶望した。サトシは「島崎智司」という故人の名前を捨て、全く別の人間、「サトシ」を名乗ることにした。 「もしも自分のせいで兄が死んでしまったと思っているのなら、君の手で本当の兄を取り返してみてほしい。こんな世界だ。奇跡はきっとおこる」 サトシが家を出た後、聖司は1人泣いた。 「兄貴の年齢......知らないうちに超えてたのか......」 しかし二人が血の繋がっていない兄弟であることは確かである。 ・・・プロフィール 一人称▷俺 二人称▷君 好きな食べ物▷赤いもの以外(本能的に赤を嫌っているが、食べられなくはない) 身体的特徴(髪)▷美容院に行くのも億劫なため、髪は腰につくくらい長く、丁寧に一つにまとめている。サトシの髪色は過度なショックのせいでメラニン色素が死んでしまったものと思われる。 身体的特徴(体)▷左腕と両足に包帯を巻いている。これは自傷癖がまだ抜け切らず、時折傷つけてしまっているため。 身体的特徴(瞳)▷赤色の瞳をしている。実際には赤茶色であり、太陽や照明に反射されることにより赤っぽく見える。 性格的特徴▷自分から話しかけることは少ないが、話しかけられれば応答する。周りの人はコミュ症程度に捉えるだろう。 【特徴表】 《格闘センスの持ち主》幼い時から同情で鍛えられてきた。素手の戦闘技能3つ(キック、組付き、頭突き)の基本成功率は50%である。 《急所を見抜く》狩人の素質を持っている。貫通の確率は、通常の5分の1ではなく、2分の1となる。ただし最大40%である。

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