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私は武器だった、銘なき刀、誰が作ったか定かではない。ただの刀。 そんな刀を振るった者がいた。いや、振るった者達がいた。嗚呼…逞しき腕よ…猛々しい叫びよ…嗚呼儚き腕に込められた一撃よ…美しい手の娘子よ、貴女を守ろう。 何人もの手に渡ったその刀は意志を持ち始める。 付喪神と言われるものがある、何年も人の手に大事に使われた物がなるというが、私は違う神などでは無い。 ただ望む、嗚呼…もう思い出せない、貴方（貴女）の顔、主様…また優しく手入れをしてください。 また私を振るってください。そして、守らせてください。 幾多の困難から守りましょう、数多の刺客を斬り伏せましょう。 何年も待ちましょう、何十年経っても待ちましょう。何百年、何千年過ぎたら、私から迎えに行きましょう。 何かが私に憑いた、彼は言う、「何故人を愛す？」、そんなの愚問である。私が道具であり、人の為に使われるものだからだ、人を愛すのは当然である。「面白い、モノよ、私の力を使えお前が軸となり私に道具の可能性を見せてくれ」 そう、彼と契った約束を大切にしながら、手に入れた人の子の体。嗚呼…貴方と貴女と貴方達の娘や息子によく似た子…嗚呼…貴方（貴女）を求めて幾百年も先の未来でもあなたを求めて、我が刀身（わがみ）は錆知らず、我が主のため、今一度貴方の手元に…。そう、今となっては貴方（貴女）が好んだ太刀の形状も、暗闇の人斬りには得意な短刀も、女子が持っても戦える薙刀も、戦場の武士が持つ槍も、また獣の欲に満ちた爪も、またはあなたが望めば手裏剣にも…貴方（貴女）の思い通り、それが武器、刀だった私の望むカタチである。全ては我が主のために。

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