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Q1 宇宙で人類が生き延びる上で、君の宗教観を聞いておきたい。 無神論者でも構わない。君は神についてどう考えている？ A1 　特定の宗教の神について本気で信仰していたのなら私は研究者として冒涜的な数々の所業を行えなかっただろう。私は宗教的な意味では神を信じていない。しかし、奇跡的な確率や理性で推し量れぬ事象を前にした時、もっと大きな宇宙の意志のようなものを感じることはある。彼は我々を罰することも死後を救うことも、何か特定の形を持つ存在ですらないのだろうが、私にとっての神と言えばそういうものだ。 　もちろん人間それぞれの心の中に、自分の信じる宗教や信念に基づいた神が存在するのだろう。心の中にある限りその神は当人にとって真実であり救いや自律になりうることも理解している。世間一般で語られる、あるいは他者の信じる「神」について私が言えることは何もなく、否定も肯定もするつもりはない。 Q2 君が宇宙にもとめているものは何か？　ロマンか？　新しい発見か？　野心か？　 君にとって宇宙とはどのようなものか？ A2 　我々は未だ宇宙に自分たち以外の新たな生命を発見していない。しかしこの宇宙において「自分たちの地球だけが生命を有する星だ」と結論付けるのはあまりに傲慢だろう。私は、この宇宙、あるいは地球と異なる空間では、どのような環境で、いかにして生物が発展しうるのかを知りたい。しかしその過程と研究を地球上で十全に行うことはできない。 　私は遠い未来訪れるかもしれないことなる星の生物との邂逅を宇宙に求める。そしてそれを自らの手元で予測し再現するために宇宙に臨む。 Q3 君が人間として一番大事にしていることを教えて欲しい。　 宇宙空間で生きていくことは容易ではない、君の価値が知りたいのだ。 A3 　哲学の話ではあるが、私は現在の人間が人間であるのは「一つの種の中での協力性が他に類を見ないから」であると考える。自分の属する集団を超えて知識と技術を共有し何かを作り上げることにおいて人間より長けた種族はいないだろう。私は研究者だが、自分が使う実験器具をどう組み立てるのかすら知らない。その原材料を掘り出すこともできない。しかしそれらの技術の下で私は研究し、新たな治療法を編み出し生体の仕組みを解明する。 　長らく語ったが、私が人間として最も大事にしているのは「自分の社会的存在は顔も知らない誰かの力で成り立っている。そして自分の行為もいつか、あるいは今も、顔も知らない誰かの社会的存在につながっている」という意識である。 Q4 君は人類の進歩をどう考えている？ 宇宙には様々な可能性がある。新しい環境で人はどう進歩するべきだろうか？ A4 　人類の進歩の一端を担う職であると自負している。人間は夜の暗闇におびえる生活に戻るべきではなく、進歩を止めてはならない、その時点で人間は地球の覇権者を気取る資格を無くす。新しい環境でも、其処でできることをやりつくし、知りうることを知り尽くすまで人類の進歩への願望は止まらないだろう。人類の進歩とはそれほど強い衝動と願望である、と私は考えている。 　個人個人がどこで進歩にブレーキをかけるかは、その個人の両親や道徳の在り方、信念によるだろう。しかし人類全体としては、それによって将来災厄がもたらされるとしても探求心を抑えきれない生き物だと考える。 Q5 君はこの宇宙開発の一員として選ばれたいと思っているだろうか？ それは、何故、そう思うのだろうか？忌憚なく教えて欲しい。 A5 　先ほど述べたように、私は地球外の生命の可能性を模索したい。自分の手元で未来のその邂逅を再現したい。そして私は、自分が人間の中でも知的好奇心の強い個体であると自覚している。未知の環境、人類の未だ到達しきっていない最先端で研究する機会が与えられるのならぜひ掴み取りたい。私が宇宙開発にいかに必要不可欠かを語るのは欺瞞になるだろう。私はただただ、自分の欲として宇宙に行きたいのだ。

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