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レグルス＝アウラ 「さて、一局御相手願おうか！」 チェスにおいて公式戦無敗を誇る正真正銘のグランドマスター。 -ﾒﾓﾘｰ- 『釘付けの一手』 対局中、そいつは奇妙と呼ぶに相応しい様な一手を見せた。 こちら側の黒のクイーンを無理やり取る形で黒のキング目前に滑り込んできた白いクイーンの駒。 戦術性もなく、態々犠牲を生んでも取るような場面ではない。 明らかな悪手としか言えないそれ。 正に取って下さいとばかりに置かれた、あまりにも奇妙な一手。 なんの変調かと盤面からそいつに眼を向けた瞬間......俺はそいつの姿に目を奪われた。 不安定な人型だった筈のそいつは、真っ白で未だうっすらと光を透過させながらも確かに"人間の少女"を形作り、見惚れる様な美しい笑みを浮かべていた。 あぁ、なるほど。 この一手は俺の視線を釘付けにする為の、最良の一手だった訳だ。 そう納得すると共に...ふと、盤面に視線を戻す。 動く事無く向かい合うキングとクイーン。 しかし黒かった筈の王の駒は、知らぬ間に己を象徴する様な深い紅に染まり、純白の女王を見つめていた。 まるで、今の自分達を表している様だと、無意識に笑みを浮かべる。 なればこそ...と盤上に最後の一手を刻むべく、王へと手を伸ばす。 そして王は、眼前で微笑む白き女王を見据え、己の敗北を宣言する。 「完敗だ。今回は俺の負けだよ。こいつは人生初の敗北かもしれない」 だが、と不敵な笑みと共に言葉を続ける。 「最後に___お前だけは貰っていく」 盤上では、紅の王が白の女王を紅く染め上げ。 その主は無垢なる白の少女を、その腕の中に抱く。 「これでお前は俺の___女王だ」 盤上の出来事を再現するがごとく、 己の紅が少女を染め上げていく。 ___斯くして、少女はその一手によって紅の女王となったのである。 『降り立つ盤上』 最初は面倒な連中だと思っていたが、UGNとやらには感謝しなければならないな。 こんなにも心躍る『戦場-ｹﾞｰﾑ-』を用意してくれるなんてな。 ルール等無く、全てがリアルタイムに変化し続ける命懸けの遊戯盤。 まぁ、精々飽きるまで遊ばせて貰うとするさ。

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