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古い時代から続いてきた波々河部家の一人娘。 両親や使用人に愛されて育ってきた。自分の家に誇りを持っており、現在衰退の一途を辿っている家の現状を憂いている。 大切にされてきた分、精一杯自分にできることをして両親や使用人、ひいては家に報いたいと思っている。 9歳の頃、使用人として奉公に来た沖 清二（当時12歳）は家の中で年齢も距離も一番近く、かくれんぼやかるたなどでよく遊んでいた。 祖母に琴の先生をしていた過去があり、よく祖母に習っていた。小さい頃からずっと琴の練習が日課。 小さい頃、一回だけ清二に琴をやらせたことがある。よくわからない顔をしながら変な音を鳴らす清二が面白かった。 琴は祖母との思い出であり、小さい頃の清二との思い出であるため、これだけは手放したくないと願っている。 子どもの頃は元気に走っては母や祖母に叱られるような子だったが、祖母が亡くなってから、波々河部家にふさわしい令嬢になろうと大人しくなっていった。 今ではもう走り回ったりしない、由緒正しいお家のご令嬢、といった様子である。 学校ではどんな授業も真面目に受け、家では本を読んだり琴を弾いたりしている。 また、昔は友達感覚で清二と遊んでいたが、次第に年を重ねていくにつれお互い大人になり、今の普通の主と使用人の関係に落ち着いてしまった。 そのことに一抹の寂しさを感じていたものの、自分の運命を自覚してからはこれでいいのだと自分に言い聞かせている。 ただ、叶うことならば、家を出る前にあの頃のような清二の子供っぽい元気な笑顔が見れたら。そう胸の奥で祈っている。

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