タグ： KK サイレン信者 砂上の鯨水面の楼閣

暗示：人形：あなたは己の意思で歩まず、流され、利用された。過去を知らなければ、今の歩みが己の意思かどうかも分からない。 たからもの：人形：かわいらしい人形。それとも今のあなたのようにどこか壊れた人形だろうか？ 彼女はかつて病弱な少女であった。医療器具に繋がれていなければ体を起こすこともままならない。彼女には幼馴染の少年がいた。少年は彼女を見舞い、外の世界の話をよく聴かせてくれた。ある日、彼はコロニーの外の世界を探索する先遣隊に抜擢されたと、そのためしばらくは会いに来れないと。しかし、いつか必ず帰ってくる。少女の身体を治す医療技術を持って帰ってくると、そう約束した。しかし少年が少女を迎えに来ることはなかった。アンデッドの暴走。人類の滅亡。世界は一度終わりを迎える。 少女もまた死して後、幾多の数奇な運命を辿り、ドールとしての覚醒を迎える。 しかし、少女、生ある身で、少年を待つことができなかった自身を呪った。 それが世界滅亡により抗えなかったことだとしても。 少年は自分の病気を癒す術を探すためにその人生を賭けていてくれたのだから。 少女は少年を探し続ける。 この荒廃した世界を。 自分と同じように、悲しき運命に翻弄された姉妹たちとともに。 ※「奈緒」という名前は、覚醒したとき唯一記憶に残っていた「少年」の名前。 　自分の名前は、思い出せずにいる。 　人形は、少年が旅立つ折にもらった「少年」からのプレゼント。

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