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スペンサー家の五男坊☆家督は兄のどれかが継ぐので、どこかの貴族の令嬢の家に婿養子になるくらいしか役割がない末っ子。 好奇心が旺盛で人当たりもよく、様々な民との交流を好む。貴族ゆえに少し価値観がずれている所も見受けられるが、基本的には”全良で騙されやすそうな貴族のおぼっちゃま”という風に認識されている。 幼い頃落馬した影響で少し足が悪いため、杖をついて歩いている。日常生活を送る分には支障はない。 友人である司祭の所に珍しいロザリオがあると聞いて、書類仕事を兄に押し付けて遊びに来た。 一人称/僕 口調/ですます 「ーーーーという貴族のふりをしています。どうも、スパイです。 　本名はロイス・アップルヤードと言います。林檎の樹の下に捨てられていたからそういう苗字にしたらしいですよ。 　はい、孤児です。身寄りがなかったので孤児院で幼少期を過ごしました。全てではありませんが。 　あれはいつだったかな...まだ子供の頃。おじさんが僕を引き取ったのです。 　笑顔が穏やかで、身なりのいいおじさんでした。僕ひとりだけが彼の養子になったのです。 　引き取られてからは孤児院の時とは比べ物にならないくらい裕福な時間を過ごしました。ああ、なんてこのパンは柔らかいのだろうって。 　勿論、引け目はありました。孤児院にいる子達を差し置いて僕だけがこんな贅沢な事をしていていいのかと。 　まあ結局、あの子達が彼に引き取られなくてよかったとその後に思う訳なのですけど。 　 　ええ、お察しの通り。彼は人買いでした。それも特殊な場所と取引をしていた、ね。 　ご存知の通り85年に刑法が修正され、売春は犯罪となり表面上は駆逐されました。 　けれど人とは常に娯楽を、快楽を求めるものです。 　性行為とは違う刺激といえば何でしょうか。 　正解は命を甚振ること。処刑とか拷問とかですね。ほら、かのフランス王妃の処刑時なんてたくさんの民衆が集まったというじゃないですか。 　とはいってもあくまでショーですけれどね。少し暇と金を持て余した中流階級向けの秘密クラブに、僕は売られたのです。 　それからは酷いものでしたよ。死なない程度とはいえ、痛いものは痛い。苦しいものは苦しい。 　ほら僕って、見た目がいいじゃないですか。加えて小柄でね。 　そういう綺麗なものが苦痛に歪む姿にそそられるっていう変態どものいいおもちゃになってました。何年もね。 　 　けれどそれもずっとじゃありません。ちゃーんと心あるヤードに摘発されて、そこのクラブは潰れました。 　そして保護されたのですけど、物好きな貴族がたまたま居合わせてたんですよね。行くところがないなら教育はするから陛下のために働かないかって。 　そりゃ警戒はしましたよ。うまい話には裏がある。身をもってよーーく学びましたからね。 　でも行くところはないのは本当ですし、このまま野垂れ死ぬのも癪なので従う事にしました。 　まあ結局のところ、やっぱり嫌な話がつきまとうわけですけれど。それはまた後に置いといて。 　引き取られた先、スペンサー家は僕のような人間を拾って諜報活動を行うスパイを育成する場所でした。 　僕は五男という役職を与えられましたけど、他の『兄』達もきっと同じなのでしょう。ほとんど会った事はないですね。 　必死に勉強しましたよ。役に立たないと思われたら最後ですから。 　その最後が、こうして来ちゃったのですけど。 　...本当に、うまい話には裏がある。嫌な話ですよ。こんな泥棒めいた任務をしなくちゃ死罪かもだなんて。 　うまくいったらロザリオを盾に身分の保証を求めてやろうかな。 　 　ーーー最近、とても大事なことを忘れている気がするのです。 　とても、とても大事なのに。どうして忘れてしまったのだろう。 　疲れてるのかもしれませんね。ロザリオを奪取したらバカンス申請してのんびり思い出してやりますよ」 ーー記憶に更新アリーー https://fusetter.com/tw/EnyHo 　

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