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「君の話を聞かせて。君はどんな物語を歩んできた？」 「僕は化け物ではあるけど何か強い力を持つわけではないんだ。少し、体が丈夫なくらいかな」 穏やかでありながら人懐っこく、人に尽くすことを喜びとし人の物語をせがむ少年のようなチルドレン。 現在はＮ市支部に身を置き、時折そのバーで働く姿が見られている。唐澤、大貫、桐生を友人として親しみ、消えた音宮を先輩と呼び、エヴァシオンを父のように慕っている。 すきなものは他人との食事、散歩、出会ってきた人の物語、父の様なあの人、甘いもの他多数 嫌いなものは願望器、人を傷つける事 苦手なものはＲＢ（ニーラム）、胸の痛み ################################# これはよくあるお伽話 何の変哲もない、善良な青年がいた。－－ただ、姿が変わらず不死なだけの青年だった。 それでも人は青年を化け物と呼んだ。場所を変えても、姿を変えても、その身で庇うだけでも人は慄いた。 友となった人間がいても百も満たずに消えてしまう。味方だと言った人間は大抵が裏切った。 ならば呼ばれた通りに、望んだとおりに。何度も討たれ損ねた青年はいつしか本物の化け物となり、呼び名に相応しい殺戮を繰り広げた。 そして最後は、英雄に討たれて死んだという。 ################################# これはＵＧＮの記録である。 ＸＸ市にてジャームの暴走が発生。急行したエージェントによれば建造物における被害は甚大でありながら人的被害はなく、現場では一人の青年がジャームと相対していた。事件処理後、UGNの勧誘に対し青年は”銀の聖杯”の捜索と発見時の報告を条件に提示。十数年前から確認されていた願いを狂った方向へ叶えるジャーム"銀の聖杯"を兄と呼称する様に難色を示す者もいたが日本支部長轟木源十郎の決定により交渉が成立。エージェントの予定だったが当人の希望により、少年の姿に変化した後チルドレン訓練施設に入る。 後に古代種の感染が確認され、貴重な素材として実験と訓練が並行して行われた時期もあったが精神的な異常は見られず、実験が非人道的として凍結された際も無関心であった様から特に自身への精神的、肉体的ダメージに耐性があると推察される。逆に他者への痛みに反応しやすく、率先して庇う行動から盾としての有用性が高い。ただ人に対する興味の強さと人であれば全てを肯定する言動、生まれたてのRBのような極端な思考に不快感を感じる訓練官も多く見た目やコードネームを変えながら訓練施設を転々としていた。とあるチルドレンとの交流後、現在の見た目と名を登録し本格的な活動を開始。数年ほど数カ所の支部を渡り歩いた後Ｎ市に配属される。 ################################# これが、最初の記憶になる。 「やあ、随分久しぶりだ」 その声は雑談を興じるような気軽さで、赤く染まった戦場にはあまりにも不釣り合いだった。口だけ穏やかな笑みを浮かべた白の遺物はヒトの死体の前でただ佇む黒の怪物に一方的に言葉を紡いでいく。 「痛いのかい？苦しいのかい？其れはまあ、どうでもいいんだ。僕は僕の役割をするだけだから」 「さあ、願いを叶えようか。人を愛した君。それに疎まれ、壊され、棄てられた君は一体何を望む？」 ーー何を言っているのだろう。苦痛は忘却し、希望は霧散し、自分の貌(カタチ)さえ刻まれてわからない。静まらない闘争本能に流されているだけだ。 ああでも一つ、どうしても知りたいものがある。 「…成る程。それは感情というものだよ。知りたいと言うならおいで。君のソレを預かって少しの間、人間にしてあげる」 それから数十年だろうか。兄と呼称するように言ってきたレネゲイドビーイングと共にあてどない旅をした。兄が願いを叶える様も、結果災害が起きる様も何度も見てきた。 やめないのかと聞いたことがある。歪な笑顔でアイツは人を素晴らしいものだから手を貸したくなるんだと言った。 本当にそうなのだろうか。脆弱で、力に溺れ、与えられた機会を手にすることすらできない。そんな人間が。 だけど兄が言うのだ。それなら人を観察し、人になりきり、人の物語を知るべきなのだろう。 そうして、兄が行方をくらませてからもその影を追って生きてきた。彼の希望の先に道があるならば、いつか人になるためにこの力をふるうべきなのだろうと信じて これは、俺がはじまりに至るまでの物語だ。 ―――――――― 「CD」 「WEJ」 「ToF」 「SiF」

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