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イフリート・U・セイリオス（Ifrit・Ulv・Seirios） ○職業・経歴など 士官学校の教官。主に実技関係の指導がメインで、近接戦闘は体術、蹴り主体の動きを得意とする。 指導のスタイルは、丁寧な説明・アドバイスと実践をひらすらに繰り返す。数十人耐久組手の合間に細やかなアドバイスを挟んでいくのは定例であり、訓練生から恐れられているが、改善点などを的確に言語化するため、指導者としての信頼は高い。 基本的には実技中心だが、所謂エリート校を経てきているため、座学を受け持つこともある。後述されるが、二年近く現場を離れていたため、その間に積んだ知識教養も多い。 実のところ、腕力や体力は特筆して秀でているというわけではなく、訓練・経験による技術と、精神力がその強さの由縁。 訓練生からは信頼や尊敬を向けられているが、常に落ち着いた態度やあまり感情を強く出さないところから、訓練生との距離は遠め。もう少し気安く接してもらっても構わないが、距離感の近い相手には内心で戸惑うことも多いので、若干遠巻きにされている今のままでもいいかと思っている。 実家は、祖父の代からアメリカへと移住した貿易商。元々は北欧の血筋だが、その他の血が多く混ざっているため、両親、二人の弟、妹の家族全員が揃っても同じ一家には見えない。長女であるが、家業は弟達が継ぐため、実家に帰ることはほとんどない。連絡はそれなりに取り合っている。自衛官という職業を選んだ時は反対する声も多かったが、肉親の中で最も慕っている父方の祖父に後押しされ、今の道を歩むことができた。 元々は現場に立つ自衛官だったが、とある任務で負傷し、入隊から一年と経たずして療養を余儀なくされる。二年近い療養とリハビリを経て怪我は完治、以前と変わりなく動けるようになったが、その期間は隊の中へとすんなりと戻るには長すぎた。療養期間中にノゾム・スコルツェニーのアクション指導を任された経験から、教官への道を示唆され、それを選択する。本人の意思による決定だが、『それは“逃げ”の選択だったのではないか』という思いが心の奥底に残っている。 ○外見・身体能力など 白銀に近いプラチナブロンドは北欧出身の曽祖父からの隔世遺伝。そのため肌の色も白く、日焼けは黒くならずに赤くなるタイプ。長い髪は一つにまとめ、白のハンカチを飾りに結んでいる。瞳は、琥珀色を光に透かしたようなゴールデン・イエロー。 179cmという高身長を少々気にしており、友人に対しては「180ではない、179だ」と頑なに訂正する。 腕力や体力は自衛官の平均の域を出ないが、感覚は鋭く、特に耳がいい。 ○人間関係 ・ノゾム・スコルツェニー：俳優である彼のアクション指導に協力したことから、知り合いとなる。始めの頃は自分とはまったく縁遠い世界の人間であり、そもそもアクション指導などどうすればよいのかという思いから、彼への態度は素っ気ないものだった。しかし、その俊敏さや器用さ、訓練にもついてくる体力や身体能力に驚き、俳優という仕事のきらびやかなイメージとは裏腹に、真摯に練習を重ねる彼に敬意を払うようになる。また、体力や俊敏さなど、理想とする自分には足りない能力を持つ彼に対して、秘かに憧れや羨ましさに近い感情を持っている。アクション指導後も交友関係は続いており、乞われれば彼の新しい仕事にも協力する。本人には言っていないが、彼の出演作は基本的に見ている。注目する視点は主にアクションなどの動きだが、例えば２時間の映画の中だと４、５回くらい、『こいつ、ほんとに顔がいいな』と思っている。 （彼のことは“スコルツェニー”と呼ぶことが多い。） ○性格・思考・行動原理など 端的に言えば冷静沈着、特に表面に出る感情の振れ幅は小さく、常に落ち着いた態度。精神的な安定感は高く、状況や他者に動じず、判断、行動することができる。喜怒哀楽の表現が薄いため冷淡なタイプに見られがちだが、他者への礼節や配慮は忘れず、基本的には誰に対しても平等。勿論相手の態度や行動によっては指摘、対立、排除することもある。聖人ではない。 大袈裟に言えば、『他者を守ること』、『多くの者が心穏やかに生活できる世界を守ること』が行動の根底にある指針。多くの場面で自己よりも他者を優先し、他者を害する者に対してはある程度理由も考慮するが、基本的には否定的で容赦がない。過度な自己犠牲精神はないが、他者を優先し、自分をないがしろにしがちな面はある。 しかし、真に彼女の根底にあるものは、『好悪どちらであれ、特別に思うものや相手が存在しない自分に対する違和感、虚無感、空虚感』である。イフリートには特別に好きなものがない。趣味もないし、好きな色もない。自分の思考や嗜好、目標や夢、行動や感情を左右し、動揺させ、決定づける『特別な何か』が存在しない。幼い頃から自分が持つ好悪感情が他人と比べて緩やかかつ希薄であることに疑問を抱き、自分はおかしいのではないかと考えていた。 父方の祖父にそのことを相談すると、彼は彼女の不安を否定し、「お前はまだ幼い。これから歩む道の中でお前が求める“何か”に出逢う日が来るやもしれん。すでに出逢った者達を羨むこともあるだろう。しかし、彼らを妬み、恨んではいけない。その唯一にいつ出逢えるかは誰にもわからないのだから」と、彼女が歪まぬように戒めた。そして、一つの指針を示す。「それでも不安ならば、いつかお前が出逢える日まで、すでに“それ”と出逢えた者達を守ってあげなさい。“それ”に出逢えることがお前の考える幸福ならば、その幸福を守ってあげなさい。あるいは、お前が守るもの達の中に、お前にとっての幸福が待っているかもしれないだろう。いずれ出逢うことができる日まで、見えざる幸福の安寧を守ってあげなさい」、と。 それが彼女の指針となる。“それ”と出逢うことができた者達を守り、いつか出逢うことができるかもしれない“それ”を守ること。そして歳を経て、学び経験を積み、最終的に自衛官という職業を選択する。人々を守りながら、いつか自分を揺るがし、決定づけるような“何か”と出逢えることを願って。 ＊彼女の虚無感、空虚感の理由はただ一つ、“彼”に出逢えていないからである。後に“彼”に出逢うことができるが、“彼”に対する感情、『守らなければ』という思いが他者へ向けるそれとは異なることに、彼女は気づいていない。 ○その他 ・特徴表：61　奇妙な幸運　敵の攻撃対象から除外される ・絵画鑑賞：かろうじて趣味と誤魔化せる唯一のもの。休日に美術館へ向かい、展示室でぼんやりと過ごしたり、所蔵された画集を眺めたりする。歴史画、風景画を見ることが多いが、知識はほとんどない。どことも知らぬ景色を見ながら、時折感じる淡い郷愁のような何かに首を傾げている。

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