タグ： さすはかむら

関西弁の陽気な無免許医。 その知識・闇手術の腕前はそこらの町医者の比ではない。 貧困な家庭に育ち、父親はとうの昔に蒸発している。 物心つかないうちから病気がちだった母親の手により何とか育てられた。 母を元気にしたい一心で医者になることを決意するが、貧困なため医学部はおろか、高校すら行けるはずもないため、 街の図書館から大学病院の潜り込みまでこなし、独学で医学の知識を身に着けていくものの、 志半ばで母親とも死別してしまう。 失うものがなくなった彼は、その医学知識を生かして自分の人生を切り開こうとするものの、 まともな働き口が見つかるはずもなく、裏社会の扉をたたくのに時間はかからなかった。 自分同様に金のない患者対応、ワケアリ病人の手術、違法薬の密造販売など、 生きる道はこれしかなく、自分の心を殺しながら毎日を生きるのが必死だった。 初めて人の体にメスを入れたときはさすがに怖かったが、今となっては悦楽ですらある。 ようやく自分の腕が社会の裏側で認められはじめ、安定した収入を得られるようになり、 生活にもいくばくかの余裕が出てくるようになったが、彼の心は埋まらない。埋まることはない。 その陽気な関西弁の裏には、だれも見たことがない闇が広がっているのかもしれない。

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