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[　前途は遠い。そして暗い。 　然し恐れてはならぬ。 　恐れない者の前に道は開ける。 　行け。勇んで。小さき者よ。]　-　有島武郎 柔和な笑みが特徴の優男。 その細く、真白い腕はまるで女性のよう。 くすくすと笑う声色は小鳥の囁きか、或いは。 元は女性としての生を受け慎ましい生活を送っていた。 けれど自身の中の性別と感情との解離に苦悩を抱える人生であった。 現代で言えばトランスジェンダー、大正の時代には理解がなく差別紛いの事も多かった。 その中で自分に声をかけ、いつも傍に居てくれたのが葉雪だった。 彼女の白樺の様な掌が頬を撫でる度に 嗚呼、自分は生きていていいのだ。と 可笑しな安堵感が溢れて止まらなくなった。 このまま、このまま、この時間がいつまでも 続けばいいと、想っていたのに。 赦さない。許さない。 そも彼女と出逢わなければ このような憎悪の炎が身を焼く苦しみを知らなくて済んだのだろうか。 而して彼女は自身の性別を棄て、名を棄て、生い立ちを棄て、 男として生き始めることとなる。 最愛の彼女の名を背負って。 【参加シナリオ】 ・「大正X2U-現代探索者文豪」

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