タグ： 板井厨房 犯人

「世界を手繰り、心を弄ぶ、生命の演出者……ブルーメンブラッドとは、私のことです」 　全国を旅しながら素晴らしい手品を披露する、巷で有名な流れの奇術師『クリスティ』。しかしその正体は、明治時代から続く血塗られた犯罪家系、森合家の四代目なのだ！　彼らの使命は歴史の闇に生き、法の手によって裁かれ得ない悪人を芸術的なトリックを使って殺害すること。その末裔として、彼女は今まで三人を手にかけてきた。被害者の遺体に必ず花を一輪添えることから、連続殺人鬼『血咲かす庭師（ブルーメンブラッド）』と呼ばれ恐れられている。人間には不可能な犯行をあらゆる手段で可能にする、まさに犯罪のスペシャリストなのである。 　が、人間には不可能なことを不可能なままやってのける存在が現れてしまったことで話は変わってきた。 「ワイヤーも、鏡も、密室も毒薬も時刻表も……成立しない。馬鹿げていますわ、こんな世界」 　知っての通り、オーヴァードの存在を前提とするとトリックなどあってないようなものだ。バロールやエグザイルは密室を自由に出入りできるし、エンジェルハイロゥは自分の姿を完全に隠せる。凶器の処理、アリバイ作り、逃走経路の確保、全ての問題を容易に解決できる。そもそも全てのオーヴァードがワーディングを使える時点で、どんな状況でも人を殺せるのだ。結果としてオーヴァードによる文字通りの“不可能犯罪”が頻発することになり、芸術的殺人鬼の株は完全に奪われた。 　彼女がオーヴァードの存在に気が付き、覚醒したのは四件目の犯行において。完璧なトリックを使ってとある白いスーツの男を殺害することに成功した彼女が意気揚々と花を添えようとしたところ、心臓を貫かれたにも関わらず生きていた男に逆襲されてしまう。そこでUGNに救出され、諸々の事情を知り驚愕。不可能な犯行が可能になった挙句、探偵側もよく分からない力を使って真相にたどり着くようになったため、森合家の悲願であった「腕のいい探偵に推理でトリックを暴かれ、そのまま滝に突っ込んだりする」ことも果たせなくなったと理解した怒りでオーヴァードに覚醒してしまった。 　覚醒後は、レネゲイドの力を利用した『誇りのない』犯罪者を止めるためにUGNに協力することになる。紛れもない危険人物なのだが、これで日常を大事にはしているし、第一うっかりジャームにでもなられて犯罪にオーヴァードの力を使うことを躊躇わなくなったらそれこそ大惨事なので、監視も兼ねる意味で容認されている。現在は犯行を一時中断して、因縁の白スーツを美しく殺す方法を考えているそう。 「私は奇術師……観客の眼を真実から逸らすなんて、初歩中の初歩ですわ」 「私は美学を持っていたい……少なくとも、命の灯を吹き消す時には。観客席に堕とされた哀れな道化の最後の望みです」

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