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七竈 呼鳴(ななかまど よな)
ID:2850512
MD:4e5ec9d1dece4fc57756951a5cfe0a65
七竈 呼鳴(ななかまど よな)
タグ:
凛々
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生まれ・能力値
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その他増加分
一時的増減
現在値
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CON
POW
DEX
APP
SIZ
INT
EDU
HP
MP
初期
SAN
アイ
デア
幸運
知識
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SAN
現在SAN値
/
(不定領域:
)
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技能
職業P
/
(うち追加分:
)
興味P
/
(うち追加分:
)
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初期値の技能を隠す
複数回成長モード
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通常表示
<戦闘技能>
成長
戦闘技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
回避
キック
組み付き
こぶし(パンチ)
頭突き
投擲
マーシャルアーツ
拳銃
サブマシンガン
ショットガン
マシンガン
ライフル
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簡易表示
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<探索技能>
成長
探索技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
応急手当
鍵開け
隠す
隠れる
聞き耳
忍び歩き
写真術
精神分析
追跡
登攀
図書館
目星
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<行動技能>
成長
行動技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
運転(
)
機械修理
重機械操作
乗馬
水泳
製作(
)
操縦(
)
跳躍
電気修理
ナビゲート
変装
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通常表示
<交渉技能>
成長
交渉技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
言いくるめ
信用
説得
値切り
母国語(
)
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<知識技能>
成長
知識技能
初期値
職業P
興味P
成長分
その他
合計
医学
オカルト
化学
クトゥルフ神話
芸術(
)
経理
考古学
コンピューター
心理学
人類学
生物学
地質学
電子工学
天文学
博物学
物理学
法律
薬学
歴史
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戦闘・武器・防具
ダメージボーナス:
名前
成功率
ダメージ
射程
攻撃回数
装弾数
耐久力
その他
%
%
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通常表示
所持品・所持金
名称
単価
個
価格
効果・備考など
価格総計
現在の所持金:
、 預金・借金:
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パーソナルデータ
キャラクター名
タグ
職業
年齢
性別
身長
体重
出身
髪の色
瞳の色
肌の色
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その他メモ
七竈 呼鳴(ななかまど よな) 一人称:自分 二人称:君、貴方 幼馴染:昴琉 口調:基本敬語。 大学4年生、法学部所属 家族構成 父、母、祖母(父方)の4人暮らし 兄弟はいない。祖父は記憶にない頃に亡くなっている。母方の祖父母は健在。 現在は大学近くのアパートに一人暮らし。隣の部屋には昴琉が住んでいる。 好きなもの:昴琉、天体観測、プレアデス星団、プラネタリウム、昴琉のヴァイオリン演奏、林檎、読書。 嫌いなもの:昴琉に愚かな思考や浅はかな考えでものを言う人間。 「自分はただ、昴琉のそばに居たいだけなんですよ。」 「凡人ですが、それが自分には当たり前でしたので。何も不満はありませんよ。」 「昴琉の事を把握できるのは、自分だけですから。」 幼馴染で天才な昴琉の傍で生きてきた。 昴琉を理解したくても凡人には天才を理解しきる事が出来ない、という事を小学1年の春頃に悟り、以来、彼を把握する事、に務めている。 特に好きな物も嫌いな物もない。…と思っていたが、昴琉にプラネタリウムへ連れてってもらったことで、自分が思っていた以上に星や天体観測が好きだったという事、昴琉の事が好きだったという事に気がつく。 呼鳴にとって、昴琉が自分の世界の中心であり、全てだと思っている。 昴琉の傍に居る事だけを目標として生きている。 昴琉が好き。その好きは、すべてをひっくるめた好き、である。 「……好き、です。今日も、好きでした。明日も、…その先もずっと、昴琉が、好きです。」 そう、夜空に向かって小さく呟いてから、眠るのが日課である。 思いを告げて、二人で生きていくことを誓った後も、この日課は変わらなかった。いや、少し言葉は変わったようだった。 「……好き、です。今日も、好きでした。明日も、…その先もずっと、昴琉の事を、愛しています。」 そう、夜空に浮かぶプレアデス星団に向かって、ハッキリと呟いてから、眠りにつくのが日課になった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 以下、秘匿ネタバレあり。 ====================== 凡人ハンドアウト ====================== 『ハンドアウト』 共通HO あなたたちは幼馴染だ。歳が近く(または同じ)であり、幼い頃から一緒にいる。あなたたちの年齢は15歳を超えている。 また、あなたたちは『事件の捜査に乗り出し、解決を目指す』という意欲がある。この理由はPLに一任する。 HO凡人(表HO) あなたは凡人だ。どこにでもいる、普通のつまらない存在だ。決して天才ではない。あなたは全てのステータスを12以下にする。そしてあなたは技能値を65%より高い数値で取得してはいけない。なぜならあなたは凡人だからだ。 HO凡人(秘匿HO)(PC1) あなたは記憶喪失だ。六歳以前の記憶を全て失っている。父と母曰く、目が覚めると言語も何もかも全てを忘れていたらしい。特に前兆と思われるものはなかったようだ。 また、あなたの記憶喪失はあなたの家族以外誰も知らない。友人も、もちろん幼馴染であるHO 天才にもだ。上手く両親が誤魔化してくれたらしい。 HO 天才に対する感情はPLが好きに設定しても良い。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 目が覚めた時、自分が何でどこにいて誰なのか、その思考を持つことすら、何も分からずにいた。 自分の名前も、それを聞く能力も、言語も、目の前の誰かの事も、何も、何も分からなかった。 分からないということすら、理解が出来なかった。 ただ、そこにあるのは 虚無 だけだ。 自分、って何? ボク、ワタシ、って何? 誰って、何? 何、って何? 虚無だ。 何も無い。 両親という存在が、ひとまず自分というものを教えてくれた。 自分の名前は、七竈 呼鳴(ななかまど よな)というらしい。 自分は、神楽坂 昴琉(かぐらざか すばる)という幼馴染がいるらしい。 自分は、日本の命題町というところに住んでいるらしく、そこの出身らしい。 自分は、この家で両親と祖母と共に暮らしていて、祖父は自分が2歳の時に他界したらしい。 自分は、本を読むことが好きらしい。 自分は、夜空を眺める事が好きらしい。 自分は、星が好きらしい。 自分は、りんごが好きらしい。 自分は、トマトが苦手らしい。 自分は、昴琉と遊ぶ事が一番好きなことらしい。 自分は、昴琉のことが一番大好きなお友達らしい。 自分は、常に昴琉と一緒にいるらしい。 自分は、昴琉が一番好きらしい。 どうやら自分は、神楽坂 昴琉という人が中心になっているらしいという事が、把握出来た。 それならば、もう自分は二度と彼を忘れたくない、と思った。 彼の傍に居続けられる様に、その為だけに生きていよう、と思った。 それ以外は全て要らない。それ以外の知識も情報も技術も何も身につけたくはない。 昴琉の事だけを把握出来るように、昴琉の事を理解する事にだけ努めて、後のことは全て何も努力なんてしてやらない。 自分が努力するのは、昴琉に関係する事のみ、だ。 自分にはこれといって取り柄は無い。 昴琉がそれ以上の物を持っているからだ。 なら、要らないからだ。 それに、自分はなにか取り柄を身につけようと努力することすらしたくないし出来ないのだ。 昴琉が息をするように努力している事を、記録していくための努力しか、できないから。 自分にはそれが当たり前で、普通のことなんだけど。 そう思うと、かちり、と自分の中でピースが嵌ったような気がした。 記録をしよう。 自分の部屋にあった、小さなノートを取り出した。 数ページだけ喪失前の自分が書いた落書きのようなものを見た。 邪魔だったから破り捨てた。 そして、何も書かれていない、まっさらな最初のページに。 そこに、こう綴った。 『これは、神楽坂 昴琉の記録である。』 と。 自分は、昴琉を把握する為の、観測者となるんだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー シナリオ履歴 ・天才故に凡人たる異常妄執の病 両生還 クリア 家に着いて、眼鏡を外した瞬間、どっと疲れと眠気が襲ってきて、そのまま泥のように眠ってしまった。 次に目を開けた時、まだ外は暗く、深夜だった。 ぼんやりとした視界で、くるくるゆっくりと頭を回した。 寝る前に起きた、一連のことを。 そして疑問に思う。 自分は、一体誰なんだろう、と。 本当の呼鳴は凡人の器の中で天才として生きている。 本当の昴琉は天才の器の中で凡人として生きている。 ここにいる自分は、一体、誰なのか。 七竈呼鳴の名前を持つ身体をさして言うのであれば、自分は七竈呼鳴である。 そちらを主に考えれば、自分は才能を奪われたという事になる。 願いのために交換され、昴琉の願いを叶えたことになる。 神楽坂昴琉の名前を持つ精神をさして言うのであれば、自分は神楽坂昴琉である。 そちらを主に考えれば、自分の願いは叶わなかった事になる。 勝手に交換しておいて、呼鳴の天才としての未来を奪った事になる。 ……自分の考え方は、どちらなのか。 昴琉の願いを叶えたことにしていたかった。 肉体が凡人でも天才になれた昴琉。 肉体が天才でも凡人になった呼鳴。 元々天才に妄執固執して、奪ったのはこの思考を回している自分自身の精神だ。 …………一筋の涙が、頬を伝った。 それから、ひっきりなしに涙が溢れた。 手で顔を覆う。 でもどんどん涙は溢れてきて、布団の中に潜り込んで枕に顔を押し付けた。 身勝手な、嫉妬と劣等感と妬みと羨みで、自分は人の人生を奪ってしまったわけだ。 この体はきっと、もっと成長が出来たんだろう。 この思考も、もっと完成度の高いものだったのだろう。 才能を、殺した。 自分は、彼の、才能を、殺した。 自分が奪ったんだ 彼の生き方を 自分が奪ったんだ 彼の可能性を 自分が奪ったんだ 彼のこころを 自分が奪ったんだ 彼という存在を 自分の勝手で 自分の嫉妬で 自分の欲望で 自分の羨みで 自分の劣等感で 自分の欲しがった彼の、すべてを奪い取ってしまったんだ。 …………ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい 奪ってごめんなさい ……こんな感情を抱いて、ごめんなさい。 …………。 ………。 ……。 …。 。 ひとしきり泣いてから、顔を上げて、前を見る。 のそのそとベッドから出て、パーカーを羽織る。 ベランダに出て、伸びをして、隣の部屋を見る。 「……自分は、七竈呼鳴です。 神楽坂昴琉という天才の傍にいる事を許された、唯一の凡人です。」 深く息を吸い込む。 ゆっくりと息を吐く。 「天才に憧れてなりたがった自分は、結局は凡人のままです。でも、そうなったからこそ気がつけました。 ……自分は、天才を把握しそして理解する事に至れる凡人である、と。」 見上げれば、星明かりが薄ぼんやりと見えた。 「……誰にも渡しません。自分だけが、七竈呼鳴だけが、神楽坂昴琉の隣に並ぶことを、許されたんです。」 プレアデス星団は、実に彼を表していた。 「…好き、です。 どういった好きかとか、そういうのじゃなくて、自分は、昴琉が好き。」 星の周りの星間ガスが、星の光を反射して輝く、六連星。 「……呼鳴の才能が、昴琉を輝かせるガスになるならば、自分は本望ですよ。」 だって、それは、貴方の持つ光を反射させているんですから。 元々の光は、貴方のものですよ、昴琉。 「…………自分だけの…呼鳴だけの、昴琉です。」 ぽつりと呟いてから、肌寒さを感じて、部屋へ戻った。 どこか晴れやかな気持ちだった。 でも、きっと、これは、 ……いや、なんでもない。 これからも、自分は名前を呼び続ける。 昴琉が昴琉でいられるように。 そして、自分の名前は彼にのみ呼ばせる。 呼鳴が呼鳴でいられるように。 自分は、七竈呼鳴です。 神楽坂昴琉の傍に居続ける存在です。 「離さないよ、繋いでたいの、自分(呼鳴)は自分(昴琉)の手を。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・真愛に回帰する八十八の病 両生還 シナリオクリア 【八十七の凡人を殺した八十八の凡人の話。】 零れ落ちていく命を、ひたすらに叫んで手を伸ばして掴み取って、やっと助けられた、最愛の人の命。 隣にいて、運命を共にしてくれるとそう約束してくれたことが、愛してると言ってくれたのが、何よりも嬉しくて、幸せだった。 入院生活も終わり、退院し、夕暮れの中、自室に帰る。 扉を開き、入り、扉の鍵をかけ、荷物をおろす。 それから眼鏡を外し、ベッドサイド腰をかけ、ぼんやりとした視界で窓の方を見て、ふと思い出す。 ……そういえば入院中、自分がシンの前でも眼鏡をかけていたということを。 これは昴琉を見る為で、それ以外は見たいとも何とも思わなかった筈だった。 でも、彼は違う。 彼は、幾度も自分を愛してくれた、自分にとって、呼鳴にとっての大切な人だ。 そして、諦めていても、きっと彼は、無償の愛を、自分へと向けている。 八十八を繰り返してようやくたどり着いた先で、自分の幸せだけを願ってくれている。 そんなふうに思えてしまう、紅い紅い澄んだ瞳。 その目から、視線を逸らしてはいけない気がした。 その目から、逃げては行けない気がした。 その目を、ハッキリと見て合わせなければ行けない気が、した。 ぼんやりとした視界ではなく、はっきりクリアな視界で。 神楽真という人物を、捉えなければならないと思った。 八十七の呼鳴達は、彼を愛していた。 自分だって、彼を愛する可能性はあった。 愛される世界を捨てて、呼鳴が生きている世界を選んだシン。 その真実は、変わらない。 シンの愛は、真実で事実で、変えられない愛情だ。 だけど、それでも。 それを知っても、 自分が愛するのは、人生で幸せにするたった1人は、昴琉のみだった。 自分がここにいるのは、昔から、産まれた時から、……シンの八十八の回帰の末に、今ここにいる"七竈呼鳴"として産まれた時から、昴琉の隣で生きる為だと、決めている。 その信念は、誰にも渡さないし覆せやしないものだ。 だから、自分は、呼鳴は、 真の呼鳴を殺した。 もうどこにも、彼の呼鳴は居ない。 それは自分が、殺した。 それは自分が、奪った。 それは自分が、望んだ。 それは自分が、選んだ。 それは自分が、消した。 それは自分の、身勝手だ。 だからこそ、自分は、シンの前では、きちんと目を見て笑いかけよう、と思った。 名前を呼ぼう。きっと彼は、それを望んでいる。 名前を呼ばれることが、どれ程嬉しい事なのか。 それは自分がいちばんよく知っている事だから。 八十七の呼鳴達が呼んでいたように、真(まこと)と呼ぼう。 ゆっくりと目を閉じ、ぼんやりとした視界を1度閉ざす。 くるりと回した思考を、休めるように。 そっと目を開き、眼鏡をかける。クリアな視界に2、3瞬きをする。 立ち上がって、窓を開け、ベランダに出る。 夕日が差し込むその景色を、真の瞳の様に紅く染った夕焼けを、ぼうっと眺める。 「貴方の呼鳴は、自分が殺しました。」 大切にしてくれて、ありがとう。 「愛してくれて、ありがとう。」 それはきっと、届かないけれど、 「真と、出会えてよかったです。」 大切に思うのは、変わらなくて、 「だからどうか、呼鳴が幸せでいる姿を。」 あなたの物には、ならないけど、 「すぐ近くで、見守っていてください。」 それでも、貴方が幸せをくれた、 「貴方の救ってくれた、生かしてくれた、呼鳴を、見ていてください。真。」 貴方の愛が、呼鳴を生かしたの。 「呼鳴の生を望んでくれて、愛してくれて、ありがとう。」 沈みゆく夕陽が、まるで自分の呟きを、嘆きのような、懺悔のような、独り言のようなその何かを、飲み込んで行くようにして、消えていく。 そうして外が、暗くなる。 暫くして、宵の明星が、輝き始める。 ひとつ、またひとつと、星々が輝く。 そして輝き始めたプレアデスに、自分は誓いをたてる。 「……好きです。今日も、好きでした。 明日も、その先もずっと、昴琉の事が…… いえ。 明日も、その先もずっと、 昴琉の事だけを、愛しています。」 離さないと、繋いでいたいと、願ってくれた、誓ってくれた、昴琉の傍で、昴琉だけを、愛して生きていく。それが、七竈呼鳴なのだから。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・愛故に虎と鎌すカミゴロシの病 シナリオクリア 手を握って、開いて、また握って。 その手にあったものが無くなった感覚に、少し寂しさを覚えた。 自分にしか、出来ない役目。 その覚悟を、いつかは決めなければならなかった。 小さな声で、詠唱してみるも、何も起きない右手を眺め、そのまま後ろのベッドに放る様にして倒れ込む。 ぼんやりと天井を見上げて、静かに息を吐く。 「……自分は、昂琉の守りたいものを、誰にももう、奪わせやしない。傷つけさせやしない。昂琉に、何も奪わせない。傷つけさせない。…その為に、その為に自分は、呼鳴は、昂琉のそばに居るんです。」 自分に言い聞かせるかのように、小さいけれどはっきりと言葉にする。 誰に聞かせるでもない、自分に聞かせる言葉。 愛されていたからこそ、起きたこの事件で。 自分が真っ先に思ってしまったのは。 "愛した物を喰らい世界を喰らい神格と化するなんて、これ以上の愛情証明はあるのだろうか" なんて言うことだった。 素直に嬉しく思ってしまったのだ。 自分への、真っ直ぐな愛情を。 ずっと前から、知ってましたよ、なんて言ってはいるが、その実それを信じてはいなかった。 言葉にしない思いなら、真実ではないから。 なんて。 「……愛故に、ですか。」 顔だけ横に向けて、昂琉の部屋の方を見る。 自分を愛してくれる人。 その愛故に、虎と化す。 そんな血族に生まれた人。 愛する者にのみ、殺される事を許された神。 …神を殺すのが、神が愛した人、なんて。 神に愛された自分が、その愛故に異界士と化する。 呪われた血を経つ為、その愛故に神(愛)を殺す異界士。 ……呪われた血の傍らにいる事を許された自分は。 その覚悟を決めていつその時が来てもいいように。 「……愛した者を、守る為に。それが出来るのは、自分だけ。」 上半身をゆっくり起こし、そっとベッドから立ち上がり、机に向かう。 棚から1冊の本を取り出し、真っ新なページを開く。 いつものペンを手に取り、そこに文字を記す。 日記に初めて、自分の事を書き記した。 それは彼を守る為の呪文。 異界士に与えられた詠唱句。 愛する者に鎌す為の、愛の言葉。 口遊みながら、その言葉を記していく。 「Gray暗くて……Rave浮かれて…… Crave望んで……Deprave堕落させて…… Grave刻んで……me私に…… Grave墓を掘ろう……、for youあなたに…… 疑似人格停止 魔力の収集率 規定値を突破 第一段階 限定解除を開始 これは精霊との戦いではない 承認 これは己よりも強大なものとの戦いである 承認 これは生きる為の戦いである 承認 これは人道に背かぬ戦いである 承認 これは真実の為の戦いである 承認 古き神秘よ 死に絶えた あまき謎よ ことごとく無に帰れ。」 記しながら、口遊みながら、これは、誓いの言葉のように思えてきた。 彼の隣にいる者としての、愛の、誓いの言葉。 最後の文字を書き記し、ペンを置いて本を閉じる。 「……この力を、また使う時が来るとしたら。 その時はきっと、自分の手で、彼を。 ……その覚悟はとっくにできていますから。 大丈夫。自分なら、呼鳴なら、出来ますから。 その為の、七竈呼鳴ですから。」 右手をそっと握る。 その上から左手で包み込む。 震える右手を抑えるようにして。 「…嫌だった、殺したくなかった。」 とてもとても小さな声で、微かに呟いた。 「失いたくなかった、自分の手で失わせたくなかった。」 嗚咽を漏らすように、押し殺しながら呟いた。 「手をかけたくなかった、傷つけたくなかった。」 頬を伝う一雫を、拭うこと無く呟いた。 「生きているなら、世界が壊れてもいいと思った。」 誰にも言えない本音を、涙と共に呟いた。 「昂琉の命より、世界が壊れてしまえと思った。」 一番彼が望まないことを、吐き出すように呟いた。 「自分には昂琉が生きていればなんでもよかった。」 独りよがりの身勝手な思いを、呟いた。 「神とか化け物とかになっても、昂琉がいればそれでよかった。」 烏滸がましいと分かっていても、呟いた。 「……そんなの、全部全部昂琉が望まないこと、分かっているんですよ。だから、そんな思い、思ってしまう事すら許されないから。」 堪えるように、唇を噛み締めながら呟いた。 「…この思いは、ここで吐き出して、捨て去るんです。 なかった事に、消えてしまえ。」 呟いて、息を摺って、蹲って、叫ぶ。 「……消えて、しまえ……!!!!こんな、思いもっ!!自分のっ、浅はかな考えもっ!!!彼の、昂琉の望まない思いなんてっっ!!全部っ、全っ部!!!消えてしまえっっ!!!!」 肩で息をして、地面に額を付けて、呼吸を整える。 そうしてから、ぐっと手を握りしめて、唇を噛み締めて、涙をゴシゴシと拭って。 頭を2.3度軽く振ってから、立ち上がる。 ベランダに出て、夜空を見上げる。 夏の星が、彼の生まれた時の夜空が、そこには拡がっていた。 「…この星空を、共に眺められる、この世界を、この街を、自分達は、随分と好んでしまっていた用です。」 夏の大三角が爛々と輝く夜空は、昂琉の様に力強く見えた。 「この景色も、この日常も、昂琉という存在ごと、自分は守ると誓います。」 3点の星を指でなぞって結びながら、夜空に向かって声を放つ。 「自分は、昂琉のそばに居る為なら、なんだって、どんな事だって、してみせます。」 それは自分に再度言い聞かせるように、放つ言葉。 「その居場所を、守る為なら、なんだって、する。それが例え、人道に背く事でも。」 手を、開いて閉じて、見えない鎌を、掴んで、振るう。 「これは、自分の……呼鳴の、真実と、運命の為の戦いだから。」 振るった鎌の衝撃波が、見えたような気がした。 「……愛故に、自分は、覚悟を持って戦い続ける。 それは……、今日も、昂琉を愛しているから。」 そう、それが、七竈呼鳴として生きるための、覚悟と運命だから。 愛故に、虎と共に、その鎌を振るい、カミを殺す。 それが、自分の決めた運命だ。
※
歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました
(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
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エラーメッセージ
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