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赤い背中が見えた。 鮮明に覚えているのは、闇夜に煌めく鈍い鉄色。 振り下ろされたそれは、鋭く悲鳴を切り裂いた。 吹き上がる鮮明な朱。それは鮮やかに路地を彩る。 ――見ているか。 脳裏に響くヤツの声。 俺を育て、俺を染め上げ、俺を鍛え上げたヤツの声。 ――これが殺しの技だ。これが殺しの業だ。 俺はヤツの全てを叩き込まれた。 逆に言えば、俺はヤツ以外の何をも知ることはなかった。 ――極めろ、その技を。背負え、その業を。 俺の踏み出す一歩が、俺の振るう一動作が。 見えない刃となって、人の命を簡単に刈り取る。 俺はただの人にあらず。きっと、ヤツよりもずっとうまく人を殺せただろう。 だが、それでは足りなかった。 ――そしていつか。それを踏み越えて、その刃を俺に届けてみせろ。 届かない。 ヤツが俺の目の前から姿を消した、その日まで。 俺の刃が、ヤツの命に届くことはついぞなかった。 赤い背中が見えた。 それは、ずっとずっと遠くに。 きっと、技が未熟なんだろう。 きっと、業が軽すぎるのだろう。 ならば、刃を研ぎ、命を刈り取って。 いつか、その背中に追いついてみせる。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― Name:月覺　仁　Code:故知らぬ殺人鬼[Jack the Ripper] 一人称：俺 他人称：呼び捨て、コードネーム 口調：粗雑 性質：狂気 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 殺人鬼に育てられた殺人鬼。天性の殺し屋。 彼を表現するにあたって、それ以上にふさわしい言葉はないのかもしれない。 殺しのプロであり、殺すことによって自己を形成している節さえある。 だが、無差別に殺して回っているわけではないことに留意すべきだろう。 殺すことによって技を磨き、間際の呪詛と恐怖を吸い上げることによって業を背負う彼にとって 非力なもの、自ら死を願うものは殺す価値を見出すに値しない存在である。 敵対するならば、その限りではないが。 なお、言動も行動も粗雑であり誤解されやすいが、彼は決して殺ししか知らない人間ではない。 本来社会に出て知るべき常識に疎いだけであり、それらを除けば意外に思慮深い一面もある。 とはいえ、一般的に見れば彼は十分狂気のそれである。 そもそも、尋常な精神で人を殺し続けるなど、土台無理な話なのだから。 育ての親を殺すために、殺しをする。 そんな一面からも、彼の狂気を感じられるだろう。 彼に殺しの術を教えた父親は、ある日を境に姿を消した。 彼は未だに、その背中の幻影を追い続けている。

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