タグ： ほにょり

「俺の名前はクドウ ユウサク。探偵だ。」 特に松田優作にも工藤俊作にもリスペクトがある訳では無いが、気がつけば探偵を生業として選んでいた。 自由とユーモアを愛するあたりは似ているのかも知れないが。 依頼を通じて知り合った女性と恋仲になるが、お互いの年齢がアラフォーという事もあり内縁の妻といったところ。 名前はミユキ、年齢は同い年。 とある日にミユキから依頼された夫の浮気調査から始まり愚痴を聞いていくうちに情が移ってしまったのか、案件を解決し離婚が成立したころ「次の住む場所が見つかるまでの1.2ヶ月」と言う約束で始めたルームシェアはもう3年目、籍を入れるわけでもなく妙齢の男女の爛れた関係はどちらが望んだ事なのか判りはしないし、確かめる気もないけれど、それでも平日の昼間から安い白ワインをソーダで割って飲んで雪崩込むように行う性交渉はなんだか村上春樹の小説みたいで悪い気はしない。 2人が2人ともそんな関係に酔っていると言われてしまえば、それまでだけど。 何年探偵家業を続けていようとやってくる事件と言えばドラマティックの欠片も無く、浮気の尾行や迷い猫探し程度だったがある日の依頼が彼の最期の時だった。 いつものようにただの浮気調査だと思っていた。 いつものように暇を持て余した団地妻の火遊びだと思っていた。 だがそれは思っていた以上に深刻で、特定アジア系のマフィアが某中堅企業の社宅の人妻達を狙い打ちにしてホストに入れあげさせたりMDMAをバラ撒いたりプレイ中の動画やら写真を撮って金品を脅し取ると言う大規模犯罪の進行中だった。 調べれば調べるほど事態はたった一人の私立探偵の手に負えるものではなく、どこかで身を引いて警察なりに任せようと思ったその日に拉致られて大リンチ、コンクリのブーツを履かされて東京湾へドボン。 肺に水が溜まり薄れ行く意識の中で彼はせめてミユキの存在がマフィアに知られていないようにと願いながら暗い海の底へ沈んでいったの ハローヒーローep.1トゥルーエンド

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