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『人間の定義』HO1 ねぇねぇ、知ってる？あの噂 『つるバラ屋敷の怪』っていう都市伝説！ △△に、いつもつるバラが綺麗に咲いてる屋敷があるらしいんだけどね？その屋敷の広間にある電話を取ると、「知っているか？」って声が聞こえるんだって。それで、「いいえ」って答えると知りたいことを教えてくれるんだって！ ------------------------------------------------- とある富豪が亡くなった。遺言には「一人息子に遺産を全て渡す」と記されており、年若い男は屋敷の新たな主人となった。 しかし、それをよく思わなかった親族に男は毒殺され、庭のつるバラの下に埋められてしまった。それを目撃した婚約者が警察に通報したものの、結局捕まりはしなかった。 「■■○○殺人事件」として新聞に書かれたが、金の力か権力か。誰も気に留めないような小さな記事であり、実際には事故として扱われていた。男の人生は呆気なく幕を下ろした。 …暫く後、犯人達は死体で発見された。死体の傍にはつるバラの花が落ちていたという。 そしてまことしやかに囁かれたのだ。「男の怨霊が犯人達を殺した」と。 その年のつるバラは、美しい花をつけたそうだ。 ▼HO1は裕福な家庭の一人息子だった。しかし遺産相続に不満のある親族に毒殺され、唯一赤い庭のつるバラの木の下に埋められてしまった(このバラは男が大層気に入っていたそうだ)。 そして彼を殺した親族は何者かに殺された。噂のように怨霊が犯人達を殺した訳ではなく、実際に殺したのは婚約者であった。復讐を果たした彼女は人知れず自殺し──結局後に残ったのは、恨みと復讐に囚われた男の似姿だけであった。 彼は「被害者の亡霊が加害者達を呪い殺した」という噂によって肉付けされ、蘇ったのだ。訳も分からず目を覚まし、胸中に燻る復讐心も虚ろだ。 誰が自分を殺したのかが知りたくて、誰彼構わず「知っているか？」と聞いている。「知りたい者に知りたい事柄を教える」力を持っているのもその為。しかしそれは、都市伝説としてある時のみ。人間として動く今セッションにおいては発揮されない。普通の人間と変わらねぇってことだ！！！ この噂は完全ではない。 最後に、電話口から質問される。 『私は縛られているか？』 【私が土に埋まっている事を知っているか】 『私には刺があるか？』 【私がバラの下にいるのを知っているか】 『私は赤く染まっているか？』 【私が赤いつるバラの下にいるのを知っているか】 『私が何者か知っているか？』 【お前が私を殺したのか？】 知りもしないのに「はい」と答えてはいけない。 彼の質問に答えられなかったり嘘を吐いたりすれば死んでしまうからだ。

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