タグ： 庭師は何を口遊む

冷静沈着で雅やかな振る舞いをする女性。大きな御屋敷の主の娘であり、幼い頃からの厳しい躾によって礼儀作法から武術等を仕立て上げられている。家系上剣道が主。学生時代には賞を取ったことも。 家からの厳しい躾によって精神面も乱すことはほとんどない。感情的にならず、誰にでも優しく静かに応じることができ、常にどんな状況でも屈しない精神力をもつ。ただし家柄上人との関わりは制限されていた上に、その振る舞い故に周りと逆に馴染めなかったため人見知り。話しかけてくれれば素直に応じれる。打ち解ければいくらか自分の事を話す。 父によって幼い頃から決められた婚約者と結婚し、子どももいる。表面上仲良くはしているが内面あまり相手をよく思っていない。家庭に縛られている上に相手も家族と同じような家風を重んじるような人なので、ある意味恐怖を感じている。特に、家の人以外の人物と会って話した後は強くそう思うようになっている。無邪気に笑えるのは、とても羨ましい。何も気にせず自分の話ができるのは、とても羨ましい。 彼女には兄弟はいない。一人っ子だ。故に跡継ぎをするのは彼女しかいなかった。外へ出る事はほとんどなく、ただ一人御屋敷で跡を継ぐための教育をされたり稽古をしていた。それがとても幼い時から始まったからだろうか、一人でいることになんの違和感を覚えることは無かった。さらにいえば、衣食住が揃い稽古にも励んでいて、家の決まり事に従う事は素晴らしい行いだと教えこまれた彼女は家の跡を継ぐためとは言えど、勝手に都合のいいように洗脳をされていたと言って間違いではなかったのだろう。また、外野から何かいわれても、そのように教えられてきましたので、と静かに断れるように育てられてきているので基本は彼女が心を乱すことは無いはずなのだ。しかし、学校などで外へ出る際、その風格故に馴染みずらく避けた人やその事に対して皮肉のような言葉を発する人も少なからずいたであろう。だからこそ、外にいる身内以外の人を見た時、話した時、どれだけ自分が｢孤独｣だったのかを、｢それ以外に生きる選択肢があった｣ということを恐ろしい程に知ることになる。その後の彼女はとても悩んだことだろう。私はどうして他の人のように生きられなかったのだろうか、一人じゃなきゃ変わっていたのだろうか、私はこのままでいいのだろうか、そもそもこの様なことを思ってしまっていいのだろうか…。大人になるにつれ積もった不安は次第に彼女の自信や意志も狂わせていってしまう。 また、そんな彼女には親によって決められていた婚約者がいた。何度かお見合いはしていて、もしかしたらその方なら少しは変えてくれるのではないかと最初は期待をしていたのだ。けれど、結局婚約者から求めてられていたのはその仕立てあげられた風格であった上に性格が傲慢だったり身内と変わらない価値観をしていたため、求めているものとは違ったのだ。それが最後の一押しになってしまったのか、それっきり彼女は考えることをやめ、ただただ目の前に訪れる出来事に身を任せるだけの生活になっていくのだった。 それからいくらか年月がたつと、彼女にはある心の変わりがあった。というのも、(跡を継ぐまでの時間潰しのようなもの)大学へ通っている間に多少の縛りはあれど、自由に過ごせる時間があったからだ。友達というものをしっかりと作れていたのか、彼女にはわからなかったがそれでも話せる人はいたのだ。そして、その人とのある他愛のない会話の内容で彼女の心が変わるのだった。 ｢ドラマとかみてると、刑事ってやっぱりいいよね。事件解決のために積極的に動いてる人って本当にかっこいいよね〜！｣ なんていう感想のような理想の殿方を描こうとしているような、そんな女性になら誰なもありそうな会話だった。しかし、彼女自身そのような会話をしたことがないどころか他の職業に憧れなどを感じる機会すらなかったために、その話はとても新鮮に感じていたのだ。そうして相手はこう続けた ｢三依さんは、刑事とかそうゆうのになろうとは思わなかったの？きっと輝けると思ったんだけどね〜。｣ 突然の言葉に呆気をとられるも、そうなのでしょうかと微笑み返してその場は流した。けれど、彼女の心はそこで動かされた。結局自身で将来を決める事はできなかった為に他人の言葉の通りにするだけになってしまったが、それでも身内以外に示された道に彼女は興味を示してしまったのだ。きっとそれが自分の求めていたものじゃないのかと、不確かなものに希望を抱いたのだ。

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