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　■■はモニターをジッと眺める。映し出されるのはある人の人生。様々な人生が無数のモニターに映し出されては流れていく。 　ある女はこの世のありとあらゆるオカルトを研究、UMAの捕獲を目的として動いていた。そのせいか否か、頭のねじが外れているようにも見られるが、案外人に好かれる性格らしい。周りに嫌われるようなことは少なかった。 　ある少年は母から愛をもらえていなかった。父は少なからず愛を与えていたと思うが、満たされている気持ちはなかっただろう。少年が満たされるようになったのは小学校というところで出会ったクラスメイトであった。天真爛漫なクラスメイトに引っ張られ、少年の心の壁は何時しか無くなっていた。 　ある男はサッカーというスポーツが得意だった。稀有な才能を持っていたためか他人から妬まれることも少なくはなかった。しかし、日本という国が彼を認め始めたとき、彼は世界中から賞賛を与えられる存在になった。 　ある男は父親がおもちゃ工場を経営しており、それがきっかけでいじめられた。しかし、とある人物が彼に理解を示したことで救われた。紆余曲折あって男は不老不死になったため、彼のモニターだけはいまだ流れ続けている。 　……ある時、一つのモニターに目が留まった。それは一人の女性の物語。誰からも好かれようとした女性のお話。その女性は容姿としてはごく平凡ではあったが、望まれて生まれなかったからか、両親から愛された存在ではなかった。それでも好かれようと家事をしたり、家計の負担を減らしたりとできることをした。クラスメイトから疎まれた。どこからか女性の家庭環境を知ったクラスメイトからいじめを受けた。女性はそれでもクラスメイトとの接し方を変えることは無かった。困っている人を見かけたら手を貸した。勉強も頑張った。それでもクラスメイトは女性を愛することは無かった。ほどなくして女性は職についた。誰かの為になるような、誰かの人生に関われるような職業に就きたいと教師になった。それでも好意は空回りし、教え子からも、同僚からも白い目で見られるようになった。結局、彼女は自宅で首を吊った。教え子の卒業式を控えた、雨が降り続けて少し肌寒い日曜日の出来事だった。 　■■は女性のモニターから目が離せなかった。胸が苦しかった。愛されないことがこんなに苦しいものなのかと、どうして自分が彼女の傍にいられなかったのかと。彼女と自分は同じ人間なのに、彼女に愛を与えられなかった自分に悲しさを覚えた。自分が彼女を愛したかったと考えたとき、■■は初めて彼女に恋をしていたのだと自覚した。 　■■は多くの人の人生を眺めていて一つ分かったことがある。人は一人では生きていけない。誰かに好かれ、愛されて初めて生きていけるのだと感じた。 「好かれたい」 「愛されたい」 「話したい」 「触れたい」 「誰かボクを」 「俺を」 「私を」 「アタシを」 「見つけて」 　いつかボクを、俺を、私を、アタシを、見つけてくれた時の為に愛されるように振舞おう。このモニターの人生を参考にして、誰か見つけてくれたら愛してもらおう。触れてもらおう。話してもらおう。 　モニターのみんなは愛されたんだ。だから大丈夫。リラも……愛してもらえる。 HO1「カミ」 PC名　リラ 特記事項　一人称が変わる。 リラの雨→春、ライラックを濡らす雨のこと。 紫色のライラックの花言葉は「恋の芽生え」「初恋」

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