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水泳部副部長。学級委員長。親の影響で映画や美術を嗜んでいるがあまりピンときていない。 友達はほどほどに。クラス全員と話しはするけど話しかけられない限りは話しかけない。ただ自分の中の正義は貫くタイプでその確固たる意志の強さを見込まれて（？）学級委員長をずっとやっている。頼られるのは嫌いじゃないけど責任感を背負わされるのが本当は嫌い。学級委員長もできればやりたくないけど、気になる事があった時にすぐに聞きに行ける、意見申し立てが出来る立場となると学級委員長だからしょうがないとも思っている。 水泳部の忙しくない時期は美術室にいるところをよく目撃されている。冬に彼女に会いたければ美術室に行けと言われるほど。もしくは柳瀬のいる場所を聞いた方がどこにいるか分かるとさえ言われている。 私の神様：柳瀬　亥織（やなせ　いおり） 私の神様。高校一年生の時に選択授業で取った美術、ただ音楽や書道よりも自分の身近にあると思ったから選んだだけ。だけどそこで私は見つけてしまった。柳瀬亥織の作品を。同じ授業で、同じテーマで描いたはずなのに彼女の描く世界は今までに見たことがない美しさだった。綺麗、綺麗。もっと見ていたい。気づけば話しかけていた。それからというもの、私は彼女の手が描くもの全てがこの世で一番美しいものだと感じた。ノートの隅も落書きも、板書したその文字も、もちろん美術部で描いているキャンパスいっぱいの絵も。今まで見ていた美術館の作品なんか陳腐なものだ。亥織の作品と比べれば全てが醜い。 美しいものを描く亥織はきれいだ。いつも褒めるのに「そんなことないよ」というのだ。そんなはずがない。彼女はきれいだ。繊細な指は絵の具に汚れてもなお美しい。むしろ絵の具が彼女の手の小ささ、柔さを映えらしているようにさえ思う。顔のそばかすだって可愛い。赤毛のアンを思わせるそれは、ちょっと茶目っ気を感じて大人しい亥織にギャップを与えてくれる。可愛い。黒い髪もさらさらとしていて綺麗だ。私は混じった色をしているから、亥織の髪の、何にも染まらないような黒が好きだ。 亥織の進学先は都会のそこそこの私立。必死に勉強して近くの良い大学に進学できるようにした。これで一人暮らしのアパートもほぼほぼ同じような所にとることが出来る。これで、今まで以上に彼女と一緒にいれるのだ。「綺音ちゃんはすごいね」なんて笑う顔が綺麗だ。「それにくらべて」と自分のことを卑下しようとするのはいただけないけれど、そんな柔らかい亥織だからきっと美しい作品を作れるのだろう。だからそのままでいいよ。その分私があなたを綺麗と、美しいと、可愛いと言うから。 絵に惚れ、そのまま本人まで好きになってしまった。それは「恋」と呼ぶにはあまりにも重く、いっそ神への信仰と言っても過言ではない盲目さを持っていた。 柳瀬　亥織 平々凡々の家に生まれた平凡な女の子。背は小さく、顔も普通。不健康な生活をしているから不健康にやせており、そんな自分があまり好きではない。 絵を描くことは小さいころから好きで、だけどそれで食っていけるわけもないから普通の大学へ進学した。 綺音のことは高校一年生の最初の方に話しかけてきてくれて、友達になってくれて嬉しい。自分の絵を褒められるのもやぶさかではない。だけど自分自身さえ褒めてくるのは綺音の方が可愛いのに、綺麗なのに、何を言ってるんだろうという気持ち。 小さいころに見たアニメの主人公に恋をして以来その主人公以外への感情があまりない。人間関係の区別の仕方が「家族」「友人」「その他」「主人公様」にしか分けられておらず、どれだけ親しくなろうとも「友人」を抜ける事はない。 ぶっちゃけ友人がいなくても生きていける。だけど友人がいると生きるのが楽なのも知っている。綺音のことは大切な友人と思っているが、それまで。

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