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戦場を駆けながら歌を奏で、ヒーローたちの力を底上げする、文字通りのアイドルヒーロー。 彼女の歌は聞いたものの脳を振るわせ、その力を解放させる。 若干16歳にしてトップヒーロー入りしたのは、その歌を聞いたファンによる後押しも大きい。 ただし彼女はヒーローのテーマソング専門の歌手である。 テーマシンガーは名を体で表したヒーローネームであり、一般人気のある歌を歌えばもっとファンも増えるのでは？という声も。 ちなみに「超弩級爆誕銀河系偶像少女」で「テーマシンガー」と読ませるのは彼女が後付けした。 小柄な見た目のわりに一人称が「オレ」であったり、男勝りな性格だったりするのはナイスガイに憧れているため。 〈以下プロローグチャートのつもり〉 私は第一次レネゲイドウォーの戦火に巻き込まれ、両親と声を失った。 そうして預けられたのは、代々何かしらのプロフェッショナルとなるナイスガイが生まれ出ずる、顎賀舎家。 顎賀舎家の養子となった私は、倍近く歳の離れた義兄に憧れを抱いた。 "サンフロント(太陽を背に)"こと、顎賀舎暮輝は生粋のヒーローであり、顎賀舎家きってのナイスガイだった。 強引で美人に弱いけど、情に脆く確かな正義感を持った義兄に、私は憧れた。 しかし今の自分は気が弱く、そもそも顎賀舎家に生まれたわけではなく、ましては男ですらない。 私はナイスガイにはなれないと失望し、肩を落としていた。 そんな私の肩を体ごと持ち上げて肩車したのは、他でもない、私のヒーローだった。 「どーした紅？　しょぼくれた顔しやがって」 その時、出なかったはずの声が出た。その声は以前のものとは変わってしまっていたけど、漸く私の想いを吐露することができた。 「そうか、俺にはわからない悩みだな。　なんせ俺は生粋のヒーローであり、生まれ落ちてよりのナイスガイだ」 「そう、いつだって信じてきた。　そう信じて止まなかった」 「お前も信じろ、うだうだ考えるよりその方がずっといい。　例え見た目が俺のようなナイスガイじゃなくとも、その心意気さえあればお前だってナイスガイだ」 「ま、コツは美人に優しくすることだな」 「そうだ。さっき一つ言い忘れてた。　俺は生粋ヒーローであり、生まれ落ちてよりのナイスガイであり……」 私が顔を下に向けると、そこには和らいだ笑顔があった。 「今はお前の兄ちゃんだ」 私……いや！　オレは兄ちゃんに救われ、オレなりの道を歩むと決めた。

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