タグ： 万年筆

彼女は裕福な家に生まれた。優しい両親に可愛がられ幸せな人生を送るそう思っていた。あの日までは。彼女の日常は突然奪われた。中学からいつも通り帰ると、大好きだった両親は冷たい塊になっていた。そして遺産は親戚に奪われ、中学を生きると彼女は1人で生きていくしか無くなった。 今日食べるのもにも困る中、思い出したのは幼い頃に訪れたマジックの興行だった。何もないところから鳩を出し、空を飛び、客の選んだカードを当てる。みんな幸せそうだった。その日から彼女は路上でマジックをはじめる。どうしようもない不器用さのために失敗することも多いかったが、相手をよく観察し、心理をみぬき騙す。才能を生かすことで売れないながらも小さな劇場やBarから呼ばれるまでになった。しかしマジシャンだけでは生きていけないため昼はUber Eatsのバイトをしている。 彼女の心情は人を笑顔にさせること。 好きなものはカエルモチーフの何か ◇とある小さな劇場 さっと、取り出した彼女のシンボルのカエルのスカーフ。その中へ様々な色のコインを隠し、混ぜる その途中でいくつかのコインを机の上に落としていることに気づかずに 「1,2,3　ハイッ」 明るい声で掛け声とともに青色のコインを取り出す…その色は観客が選んだものではなかった。 その雰囲気に気づくと、いつも彼女は客をよく見ることにしている。 観客はふっと視線をとある１点に集中させた。 また、コインを床に落としてしまったようだ。 「お客様の選ばれたのは、この机の上にある緑色のコインですね」 2020/04/28 海神の里　TRUEEND

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