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考古学を主体とした登山家。 男勝りな性格ではあるが、個々の事情について深入りはしない。 山の中に眠る大地と生命の歴史にしか興味がなく、人間関係はそれなり。結婚しようとはハナから考えておらず、弟が結婚しているのだからそれで十分だろう(血が途絶えなければいい)、と結論を出している。 5歳の頃、祖父の持つ山に登ったのが始まりだった。 世に出るほどの価値はないが、化石や溶岩樹型はこうやってできるんだよ、とひとつひとつ教えてくれた祖父の言葉は、今でも覚えている。 これは私たちが産まれる前、生きて死んでいったものたちだ。と。 ーおじいちゃん、これはなぁに？ これは溶岩樹型だね。大きな樹がここにあったんだよ。山が噴火したら、熱い熱い溶岩がどろっと流れて、全部を燃やしながら進むんだ。雨が降って冷えて固まったあとには、燃やしたものは残らないから、溶岩だけが残る。 ーもえちゃったのは木だけなの？ いいや、木だけじゃない。人や動物だって燃えたんだろうね。じぃじたちが"そう"なるのは、今日かもしれないし、明日かもしれないし、ずっとずっと先のことかもしれない。 ーいちごももえてなくなっちゃう？ 怖がらせてしまったか、すまないね。じぃじにもわからんよってことなんだ。 ーううん、こわくないよ。もえちゃうときってあちあちでしょ？いたいのかなあって。いちごが燃えたらいちごのかたちになるんでしょ？どんなポーズしようかなってかんがえてたの！ ははは！胆が据わっとるなあいちごは！将来大物になるなあ、はは…。それならじぃじの山だけじゃなく、世界の山も見るといい。中には化石や遺跡といってな、骨が残ったりずっとずっと昔の人の住処…家があるそうだよ。 ーおうちがあるの？ そう、おうちがあるらしい。どこの山かは調べてみないとわからんがね。…そうら、日も暮れてきた。ばぁも心配する。夕飯作って待っとるぞ。 ーねぇねぇ、ごはんの前におやまぜんぶしらべて！ 全部は難しい！飯の前だからばぁがいいよと言わんとなあ。 20歳を過ぎて祖父が死んだ時、向井いちごは思った。 ーどうして、山で死ななかった？ 向井いちごは生涯を山で生きたものたちへ捧げている。 全てを解いて「彼らが生きた証はここに在る」と後世に遺すために。 山で死ななければ、後世に伝えられないではないか。 向井いちごは山を登る。 彼らの生きた証をすべて拓くために。 すべてを解明したあとは、 山の産声で私の生きた証を遺そう。 私は私の死に様を、それ以外では許せないだろう。 クトゥルフ神話TRPG「狂気山脈～邪神の山嶺～」 HO3B:隠匿された真実 君を突き動かすのは好奇心だ。 君は知っている。かつて、かのミスカトニック大学が南極で未知の巨大山脈を見つけ、その存在をひた隠しにしてきたことを。 あの山脈には、「前人未到の世界最高峰」ごときでは済まない何かがあるに違いない。 【ミッション:狂気山脈の謎に迫る】 シナリオ「狂気山脈～邪神の山嶺～」にて作成、ロスト。 山から逃げる時、最後の最後で避けきれなかった。なんとつくづくついていない、と俯いた顔を覆ったとき、「向井いちご」の最期の意識ダイスロールは「スペシャル」だった。 「こんなところでスペシャル…？」と恨むように呟いてしまった。でもむ

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