タグ： SS

桐生 紅葉 母は自分を生んだこと、父と結婚したことを後悔していると喚き、幼い紅葉にあたるような人だった。 そして紅葉が5歳の頃、母は男と逃げ、家庭は崩壊した。 「お前がいるから私は自由になれない。私の足かせめ」 母親から突き付けられた言葉はナイフになり、紅葉は感情を表すことが怖くなった。 父は不甲斐ない自分を許してくれと、お前の人生は俺が守ると言って抱きしめてくれた。 けれど、そんな父も小学校中学年の頃から、過労で心を壊していた。 忘れもしない、中学生になった入学式の次の日の夕方。 急いで帰った家で父は家で首を吊っていた。 「俺の人生は　狂わされた」 主語のない遺書を残して、彼はこの世を去った。 その日は、4/9。　紅葉の誕生日が彼の命日となったのだ。 全部俺がいるから悪かったんだ。 俺がいなければ母は自由だった。父は死ななくてすんだ。 どうして、父さんは俺を置いてったんだろう。そんな思いを抱きながら、父の遺影を抱いた。 時折、哀しみに暮れて、血のつながりのある母に縋ろうとしたけれど、やはり母には連絡の一本もつかなかった。 父が亡くなった後、多くの金を背負った中学生に、大人たちは金目的で近付いた。 甘い言葉で近寄らせて、感情がなくて気味が悪いと手放され、気付けば何件もの家を回ってきた。 気付けば心から笑うことも、悲しむこともなくなった。 上辺だけは笑うのは上手になって、真意を隠すのは得意になった。 最後に引き取ってくれた場所に迷惑をかけるのが嫌で、誰かからも何も言われない、公務員である保健医になった。 子供たちは楽でいい。ある程度読み取ればいい。 大人よりも汚くていい。読みやすくていい。 そんな思いで付き合っていたが、一人の少女に出会った。 どこか自分と似ていて、どこか自分の足りないものを埋めてくれる気がして。 その子には自分の昔を話した。その子からも色々なことを聞いた。 家庭も似てるね 大人って怖いね 先生は怖くないよ 彼女なら自分を、認めてくれる。あいしてくれる。 そんな気がして、一度、彼女を抱いた。 抱いた後、俺は俺に嫌悪して、吐いた。 君が悪いんじゃない、君のことは好きなのに 愛してるのに　　と叫ぶ俺を抱きしめてくれた。 先生と一緒に進んでいこうよ。 笑ってくれた君がとても愛おしくて、ああこれが愛なのかもしれないとおもって そんな君を愛していけると思ったんだ。 俺は、俺は、許したくないよ 君が死んだ理由を探すよ。 仮面をつけて今日も俺は笑って、君の原因を探す 公開されない遺書にはなにがかかれてるんだろう ー杏、俺は、君に愛されていただろうか。君を愛せていただろうか ＊＊＊＊＊ 紅葉⇒翁草の英名である、アネモネから。アネモネの和名は紅花翁草 4/9⇒翁草　花言葉は「清純な心」「告げられぬ恋」「何も求めない」「裏切りの恋」 職業技能 医学/応急手当/心理学/精神分析/薬学/説得/信用 ⇒保健医としてメインはメンタル面。薬も使うし、保健医の免許って医学も学ぶ必要ありなのでこのようにしてみました 聞き耳⇒これは聴診器を使う面で、かなあと。 興味技能 回避/キック ⇒誰かを守るためには時として、という最終手段。手を出すことはこわくて、足を出す。

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ