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2021.07.08　ロスト ＜日詰 玄景(ひづめ とらかげ)＞ 一人称：俺、僕 二人称：お前、あなた ピアノとアコースティックギターをメインに演奏し、活動しているシンガーソングライター。言葉で物事を伝えることが苦手。親しい仲だと割と顔に出る。 父は作曲家、母はピアニストとして活躍している音楽一家の一人っ子。家庭環境に促されるまま、音楽の道を進んできた。しかし本人は音楽に対してそれほど熱意もなく、ミュージシャンになる気は然程なかった。楽器が弾けることも、曲が作れることも、玄景にとっては当たり前のこと。それ故「つまらない」と感じていたのかもしれない。 小学生の頃、母が家で開いているピアノ教室に参加していたところ、長末 弓鷹(ながすえ ゆみたか)とその妹の鶫(つぐみ)に出会う。彼があまりにも楽しそうに演奏するものだから、それまで大して関心のなかった音楽の世界へ興味を持つようになる。 彼らと演奏することは楽しかった。彼らと共に音楽に触れる時間は心地よかった。玄景が自分から進んで音楽に向かうようになったのは、明らかに、弓鷹と出会った時からだと両親は口をそろえて言うだろう。 だが、誤解してはならない。玄景が好ましく感じていたのは「音楽」ではなく、「心から音楽を楽しむ友の姿」である。 大学は弓鷹に乗っかるように進学したものの、これといった思い出はない。強いて言えば、空いた時間にふらっと弓鷹とギターやピアノを弾き、滅茶苦茶なコード進行でもなぜか噛み合う、そんな二人だけの音楽を楽しんでいたのかもしれない。 音楽一家とはいえ、両親も玄景が本気で音楽と向き合っていないことには薄々気が付いていたため、就職も好きにしていいと言われていた。しかしやりたいことも特になく、悶々と悩んでいた頃、弓鷹が実家の手伝い中に指を切り落してしまう。 毎日当たり前のようにギターを弾く弓鷹の姿が、パタリと消えた。自分が弾いていたら、彼も少しは弾きたくなったりしないだろうか。昔の彼のように「楽しそうに」弾けているかはわからないけれど、玄景は一人演奏を続けた。しかし弓鷹と音が噛み合うことはなかった。 在学中のある日、過去に応募した曲がコンペで受賞したという知らせが届く。 それは弓鷹がまだギターを弾いていたころ、一緒に即興で弾いた曲をなんとなく書き出して仕上げた曲だった。それは、珍しく玄景が「誰かに聞いて欲しい」と思った曲だった。朝食を用意するような気軽さで「これ出していい？」と聞いたので、彼が覚えているかは分からないが。 作曲者の欄には自分の名前と、もう一人。――――この曲を、殺してたまるものか。 指が切れたからなんだ、音が違うからなんだ。音楽続けたいって、言ってたくせに。吐き出せない言葉を、伝えようのない想いを全て楽曲へと昇華させ、ひたすらネットに上げたりコンペへ応募しているうちに学生時代が終了。卒業する頃には、そこそこ知名度のある作曲家/ミュージシャンとして活動の幅を広げていった。 大学を卒業し、本格的にミュージシャン活動へ取り組んでいた頃、栄養失調で倒れる。自宅に訪ねてきた弓鷹に発見され、救急車で運ばれしばらく入院することに。その件以来、頻繁に世話を焼きに来る弓鷹を不憫に思い「お前もここ住めば？」とルームシェアをはじめた。 彼を不憫に思ったことも事実だが、何よりも弓鷹を音楽の世界へ引きずり戻したかったというのが本音である。弓鷹がギターを渡してきたときは内心ガチギレした。 弓鷹とのルームシェア歴は3年、お互いが24歳の時から。 作業に行き詰まると、玄景は決まってある曲を弾く。デビューする切欠になったであろう、弓鷹と弾いた二人の曲。 旋律は重ならず、滅茶苦茶なコード進行はそのままに。もしかすると、無意識なSOSなのかもしれない。それか、弓鷹へ向けた何かなのか。その両方か。 ステージに立つたび、密かに思う。このライトは、あいつにこそ相応しいのに。 彼に音楽をやらせるために、今日も、好きでもない音楽を続けている。 ＜関係＞ ・長末 弓鷹(ながすえ ゆみたか)/「弓鷹」 小学校時代からの幼馴染でマネージャー。玄景が音楽を続ける理由そのもの。好きなことして生きてほしい。絶対に口にはしないけれど。 真面目な働き者かと思いきや、奇怪な発想(※褒めてます)の持ち主だったりするので「変な奴」と思っている。センスはよくわからないけれど、弥勒菩薩の抱き枕とかどこで仕入れて来るんだろうと彼のネットワークが未知。 世話を焼いてくれることに関しては彼が好きでやっていると思っているため、自分も楽だしラッキーくらい。一応感謝はしている。 ・実家/日詰家 仲は良好。お互い積極的に干渉することはないため、メディア等で情報を得ているかもしれない。 ひとり立ちした頃は毎月仕送りをくれていたものの、玄景が全く消費する気配がなく最終的には腐り果てていたため送られなくなった。 かわりに弓鷹の実家から仕送りが届くようになり、しばらく拷問のような食材消費サイクルが続いたとか。 ＜普段の生活＞ 掃除は一応当番制かもしれないが、弓鷹が自主的にやってそうでいつの間にか自分の当番忘れてるかもしれない。 料理は弓鷹が作ってくれる(多分)。月一くらいで激辛デーといって、狂った激辛クッキングを行う日がある。実はめっちゃ楽しみ。その日は玄景も調理に参加する。 早朝の方が集中できるタイプのため、午前中は部屋にこもって作曲作業をすることも。朝食は抜きがち。コーヒー飲んだら満足。 ＜苦手・弱点＞ ・甘いもの。食えん。プリンとかゼリー1カップ食べきれない。コーヒーはブラックのタイプ。 ・運動。体力がない。ライブのあと大体しんでる(ほっといても弓鷹がやってくれるやろ精神)。 ＜好きなこと＞ ・弓鷹が音楽やってる姿。 ・辛いもの。弓鷹が来るまでは麻婆豆腐ばっか食ってた。さすがに飽きた。 ＜技能について＞ 応急手当：自己管理のため。なお、活かせているかは別の話。 聞き耳：音楽家だからね！ 図書館：楽譜とかなら読むの早いかも。 目星：眼力ともいう。 製作(作詞作曲)：字が汚い。デジタルに入力する際、弓鷹が解読からはじめるのはそのせい。 言いくるめ：どちらかというと威圧。頑固な男です。 芸術(ギター/ピアノ)：ギターは中学、ピアノは幼少期から。仕事でも、どっちも同じくらい弾いてるかなぁ。 心理学：意外と人のこと見てる。なんだかんだアーティストではある。 <部屋にあるもの> ・アコースティックギター(Gibson J-45)：相棒。収録など仕事では持ち出すが、基本的に家。 ・楽譜：仕事のものが8割。端の方に丁寧にまとめられているのは、学生の頃弓鷹と弾いた曲の雑書き。未完成のものもちらほら。あの時入賞した楽譜には、当時のピックがテープで止められている。 ・キーボード＆PC類：主に作曲作業を行う。MIXなどは弓鷹に丸投げしがち。 ・その他ベッド、長机、パソコンチェア、人をダメにするクッションなど。シンプルで物が少ないイメージ。クローゼットも割と空いている。 ＜その他＞ ・右利き。左手はよく髪の毛いじってる気がする。 ・普段は雑、こだわりだすととことんやりたがるタイプ。 ・好きだと感じてもらえることは素直に嬉しい。けど正直どっちでもいい。「よかったな」で終了。他人の感情への興味が比較的薄い。

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