タグ： 縁あれば千里 火点し頃の蜘蛛踊りHO3

ㅤ田舎の古い名家の生まれ。 ㅤ兄・惣一郎はあらゆる面で誰よりも秀でており、次期当主として誠にふさわしいといつも褒められ持ち上げられていた。 ㅤ一方次男である恭二郎はさしたる才能もなく、どれだけ努力をしてもいつも二番手に留まった。同じ道場で習っていた剣道も、必ず兄には一歩及ばなかった。「あの出来のいい長男に比べて弟は」。いつしかその言葉が恭二郎を構成する全てとなった。 ㅤ兄の傍にいる限り自分は報われない。そう悟った恭二郎は適当な職場に就職し、家を出る。そこでようやく正当な評価を得ることを体験し、少しずつ心に刺さった無数のトゲを昇華しようとしているところ。……なのだが。未だに実家から頻繁に連絡が来ては怒鳴られ、やれ帰ってこい、やれもっと良いところに就職しろ、やれ見合いをしろなどと言われ続けており、そろそろ辟易している。 ㅤ一人暮らしスキルは皆無。ご飯はいつも買って帰るか外食。掃除は週一くらい。冷蔵庫には酒と水とつまみになるものしか入っていない。誰かの手作りご飯が食べたい今日この頃。 ㅤ酒とタバコが大好きで趣味はない。休日は酒を飲みながらボーッとしていることが多い。強面の仏頂面だが、意外と子供と打ち解けたり年上のオッサンに可愛がられるところもあったり。

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