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相良家三男のメイド。 冷静沈着で、愛想のない女性で、いつも無表情。無口な訳ではないが、必要な事以外はしゃべらない。 親しい人には毒舌。愛情の裏返し。 三男坊の唯一のメイドとしてこじんまりとした屋敷に二人暮らしをしている。 家事全般はもちろんのこと、秘書業務や護衛、運転手も務め、一通りの事はそつなくこなす。 ただ一番出来るのはステゴロなので、護衛業務が一番性に合っている。 黙々と仕事をこなすタイプで、スピードが命。 自分よりも体力のない主人のため、一瞬で物事を終わらせる事に長けている。 持久力よりも瞬発力が大事だとおもっている。 非力だが体力お化けの学友には「扱いづらい武器みたいやなあ。」と笑われた。 元ヤン。毎日喧嘩に明け暮れていた。喧嘩っ早く、短気で口も悪い。けれど仲間に対しては情に厚く、曲がったことは嫌い。 喧嘩も一種のコミュニケーションだと思っているので、口で語るよりも拳で語る方が得意だった。 親は教師をしており、彼女をもてあましていた。昔はよく話したが、ぐれてからは母親は彼女を怯えるようになり、父親とは顔を合せれば喧嘩の日々。 しかしそんなある日、病院から携帯に電話がかかってきた。 「ご両親が事故に遭いました。すぐに病院に来てください。」 すぐに病院へと向かったがもう遅く、両親は息を引き取っていた。 奇しくもその日は仁花の誕生日で、車からは彼女への誕生日プレゼントが発見された。 「仁花、誕生日おめでとう。最近お話していないね。また、ゆっくり話そう。私たちは家族なのだから。」 ぼろぼろになったメッセージカードにはそう書かれてあった。 朝、母親が一緒に出かけないかと、久々に誘ってくれたこと。 昼、父親から電話がかかってきていたこと。 未来を変える機会はいくらでもあったのに、自分は全てを取り逃してしまった。 自分のせいではなくとも、何か出来ていたかも知れない。 そう思い、自分のせいなんじゃないかと思い込んだ仁花は両親の後を追うことにした。 病院の最上階から飛び降りようとしたその時に腕をつかんでくれたのが今の主人。 「その命、要らないなら俺に預けてみろ。悪いようにはしないさ。」 彼女は半信半疑で過ごすうちに、思う。「この人と、もう一度家族になろう。」 「おかえりなさませ、光圀様。」 「我が主は眉目秀麗・・・いえ、どうにも頭のねじが飛んでいらっしゃるようで。」 「包丁で刺されれば人は死ぬのですが、それすらも分からなくなるほど酷く頭をお打ちになられたのでしょうか。」 「率直に申し上げますと、アホだと思っております。」 相良　光圀（さがらみつくに） 相良家の三男坊。ちゃらんぽらんで、遊び人のような風貌をしている。しかし仕事は出来る。 一応子会社を任されており、社長さんをしているが、 裏のお仕事の方が忙しい。犯罪一歩手前というところ。 とある理由で入院していた時、病院の屋上で拾った少女に目を奪われ、拾っちゃった。 ほんとは奥さんにするつもりで連れてきたのに、なぜかメイドになると聞かなかったからまあ都合がいいかと思い許した。 アルビノで、身体が強くない。真っ白とまでは行かないが、かなり白い髪に色素薄めの赤い目が両親は気に入らなかったらしく、 追い出されるように別宅に住まわされている。 なかば押しつけられるように裏の仕事をしているが、見た目で油断してくれたり、怖がったりしてくれるおかげで、仕事がはかどるため、 むしろ容姿には感謝している。 拾った少女はもともと喧嘩が強いらしく、護衛なんかもしてくれるし、とっても便利だと思っている。 なんだかんだと思いも告げられぬまま、彼は考える。「彼女と、本当に家族になれたら。」 「にかちゃん、おはよ。今日もはやいな。」 「おっ、今日も美味そうだな。いやはや、良いメイドだ。」 「愛染、やれ。」 「ごめんな、にかちゃん。こんな仕事押しつけて。」 「ほんと俺にだけきついよね？泣いちゃうよ、俺。ねえ、無視しないで。」

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