タグ： ドロップアウトディスパイア

いつからだったかわからないが闇社会で殺人をしていた。 誰もが朝起きて顔を洗うように、 殺しに加担していた。 ある日、ターゲットの死体を処理しようとした時、 死体の手に何かが握られていることに気がついた。 それは遺書であった。 死体とは本来喋らないはずなのに、 この男は死してなおその言葉を伝えようとしている。 エピタフはこの時生まれたのかもしれない。 以降彼は「遺書」について美学を見出し、 ターゲットに対して必ず殺す前に遺書を書くよう指示することになる。 しかし、そんな行為が目に止まり、同業者に殺されそうになる。 頭は良かったが身体能力に自信のないエピタフはついに殺されそうになる。 そこで死の間際、ヒットマンに遺書を書かせてくれと頼む。 その時に出会ったのが「No.13"イーサン"」だった。 【遺書】 大抵の書き出しは 「これを読んでいるということは、俺はこの世に居ないだろう。」 と始まるが、しかし俺は遺書を書くことを躊躇っている。 笑えるよな。 だから書き出しはこうだ。 この遺書をお前が読んでるってことは、 俺はついに死ぬ覚悟をしたってことだろう。 遺書というものは神聖であり、 またある意味では冒涜的だ。 死人に口無し。 人は死んだ時点で世界に干渉する術を失う。 どんなに高名な政治家も、 ヘドが出るようなゴミクズも、 死ねば土塊(つちくれ)と変わらない。 だから、遺書を初めて見た時驚いた。 殺したはずの人間がまだしゃべっていたんだ。 その時から俺は、死人の最後の言葉に興味をもった。 同時にその最後の言葉を届けてやりたいとさえ考えた。 お前には随分付き合わせてしまったな。 だがこれで終わりだ。 俺も遺書を書いたということは、 死人になる覚悟をを決めたということだ。 お前は自由になれ。 あの時から随分成長した。 金も力もある。 その気になればお前のその残念な見た目も治るだろうさ。 お前は生き続けろ。 俺の遺書を、言葉を、 お前が死ぬまで生かし続けろ。 これは俺からの解放であり、俺からの呪いだ。 お前は死ぬまで、俺を生かし続けろ。

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