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「なぜ、人は争うのでしょうか」 「神はいつも"隣人を愛せよ"と教えとくのにも関わらず、今日も剣は赤く濡れるのです」 「今日も私は、剣を赤く濡らすのです」 「嗚呼、神よ。愚かな我々は、果たして懺悔だけで救われてよいのでしょうか」 〜＊〜＊〜＊〜 先の大戦、「百年戦争」と後に謳われる悲劇の中頃に生まれそして戦火にのまれるように激動を生きてきた青年。 教義を貫き、花を愛し、子らとふれあい、民との談話を大切にしている心のやさしい青年であり、彼が教会を訪れた者たちに快く平等に声をかける様子は日常的に見られることだろう。 だがしかし、彼には初めて剣を握ったのがいくつのことだったかなど記憶になく、血に濡れた剣を掲げ譽れを叫ぶ戦場にしか生きる場所のない"騎士という自分"に心を痛めている。 なぜ、教会という神を奉る場に属しているのにも関わらず、自分の手は赤に濡れるのだろう？こんな所業は果たして懺悔だけで許されてしまってよいのだろうか？ 孤独な自分を救ってくださった教会を裏切るようなことは出来ず、途方に生きていた。 そんな葛藤から唯一抜け出せる気がしたのが、十年前に暗い場所で出会った「ジャンヌ」という女性の傍で言葉を交わす時間だった。 彼女と言葉を交わす時間があったからこそ、血塗られた腕でも皆を守る為に剣を執り続けることができたのだ。 いつしか「彼女に青い空を見させてあげることが叶えば、本当の意味で"自分"は救われるのではないか」と想うようになり、敬愛なる大司祭への恩義に尽くしながらも"自分として生きるため"の道を模索している。

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