タグ： 中里魚棚 詐欺師 小市民

「お、親と学校にだけは言わないで」 　家庭にも友人にも大きな不満の無い、ごく普通の高校生……だが、老人相手の詐欺に手を出していた。思春期特有の自意識と無力感が混じり合った結果としての愉快犯的なものである。素人の犯行にも関わらず詐欺は毎回成功し、小遣い程度の金を手に入れて自尊心を満たしていた。 　五度目の犯行に至って、無意識にオーヴァードの力を使って詐欺をしていることが露見し、UGNに確保された。真実の隠蔽や悪意の小ささの観点から、被害者は返金の上で詐欺の記憶を消され、倉浜自身は監視下に置かれることに。戦いや死なんて真平ごめんだが、負い目があるしお金も貰えるのでバイト感覚で協力している。UGNは犯行に及んだ原因をオーヴァードの衝動のせいだと考えているが…… 「別に、どっちでも良いけど……」 　口先で人を転がす快楽からは未だに抜け出せておらず、衝動と周囲の視線（良心ではない）との間で葛藤している。人を騙すことにかけては優れたその能力は、今はUGNの情報収集に役立てられているが、本人の精神性も相まって、何かのきっかけがあればFHあたりに傾きかねない危険を孕んでいる。 「……もしもし？　私だよ、私」 『フィッシング詐欺』 　携帯電話から出る電波を調律し、敵の脳波に干渉することで、その意識をこちらだけに向ける。 『架空請求』 　敵の神経系を狂わせ、自分への攻撃を失敗させる。 「世界を守るとか……いえ……はい」

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