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特徴表：平凡な容姿（鈴淙から引き継ぎ）、マニア・コレクター 二万円鈴淙の母、鈴淙は24の時の子ども。旧姓は火鳥（ひどり）。レイブンクロー。 好奇心が強く、自分の興味のあることにはとことん追求するタイプの人。もともとは外に出ていろんなところを冒険するようなフィールドワークが好きな人間だった。オカルトめいたものを見に行ってそれを独自解釈で研究する趣味がある。 そんな趣味を持ちつつ、本業は小説家であった。今から28年前に第一シリーズが始まった少年少女の冒険譚、「僕と君の神話冒険」という小説シリーズの作者である。ペンネームは沙桜　陸（さおう　りく）。愛称としてザオリク先生と呼ばれていた。 少年少女の少しギャグテイストながら、勇気と友情による笑いあり涙ありのドタバタ冒険物語である。当時は大ブームとまではいかずとも、大人から子供まで知る人ぞ知るといったオカルトファンタジー小説であった。 彼女は自身が17歳の時にこのシリーズをとある雑誌にて掲載、雑誌での人気を得たため本として出版した。 実はこのシリーズ、同じ経験をした者にしかわからない独特の表現が混ざっている。 その”経験”というのが、彼女が中学生2年生の14歳の時に体験した不思議な記憶。今から31年前の話、彼女は友人とオカルトスポットに赴き、そこで超常現象に襲われて当時の友人は行方不明になった。何とか生還した彼女にも、不幸な後遺症が残った。年々明らかに体力が落ちていくのだ。おそらく寿命を奪われたのだろう（一年に一回、CONが-1）。もとよりそういったオカルトめいたことに興味があったので、それ自体は素直に受け入れた。ただ、体力が目に見えて衰えていくので、外に出る回数を減らさざるをえなくなったのがちょっと不満。 もし可能ならば、自身が経験したこの事象を同じように経験したことのあるものに伝えたいと思った。オカルト好きの友人のためにも、世になにかしらの形で残したい。そこで、もともと好きだった小説にそういった表現を織り交ぜて世界に発信できないか？そう考えたのだった。 シリーズを刊行して３年ほど経った日のことだろうか、彼女の元に一通の手紙が舞い込んだ。 その手紙をみると、どうやら”同志”のようだった。彼女はとても心が昂ぶった。あの時と同じようなことを経験した人間に、ついに文が届いたのだと…！彼女はすぐさま手紙に返事を出した。そしてしばらく文通を続けた後、手紙の差出人と会うことになった。 差出人の名前は、二万円詩聖。彼もまた同様の経験をし、とある”呪い”を受けたのだという。彼はその呪いを解く方法を探し続けている。それならばと、彼女は独自で研究していた”経験”の情報を彼にいろいろ教えた。人智を超える話ばかりであったが、彼はとても真剣に聞いてくれた。彼女としてもとても心地よかったのだった。 初めこそ”同志”のつもりであったが、彼女はいつしか二万円詩聖に惚れていった。自分の傍から見ればバカげている研究や推論を、真剣に聞き時には論議してくれる、その姿勢に惚れてしまったのだ。顔もいいし。多重婚者ということもあったので、彼女もそれに乗ってしまうことにした。彼の本拠地に場所を移し、”研究”を共にすることになった。集めに集めたオカルト本も詩聖の家に根こそぎ移した。 体力がどんどん衰えてしまっていたため、子を成すことはせず、独自研究を進めていた。研究結果を真剣に聞いてくれて、それに対して意見を述べてくれるだけでよかった。一緒に研究してくれるだけでよかった。のだったが、彼女は好奇心が強い。一度くらいは生命の神秘と呼ばれる受精を経験してみたいとは思っていた。 さらに時が経ち、今から22年前だ。詩聖が海外からもいろいろな情報を入手し、結果として、”国外”に呪いを解くカギがあるのではないかと二人の中で解釈が一致した。活動の幅を海外中心にすることになり、彼女はついて行く体力がないので、その先は彼に託そうと決めた。と同時に、前々から興味があった生命の神秘をお願いすることにした。お願いを聞いた詩聖は、最初は迷っていた。この体力では下手したら寿命を早めかねないのだ。だが、沙桜はこれも一つの研究なのだと言ってきかず、詩聖は結局彼女を抱くことにする。 そうしてついに生命の神秘を成しえたのだ。 ところが、危惧していたことが起きた。 予想よりも早く沙桜の体調が悪化したのだ。妊娠7か月目頃、彼女が倒れ搬送される。彼女自身も死を覚悟した。自分が死ぬのは怖くない、でも、このお腹の我が子は死なせなくない…。 「ああ神よ、私はどうなってもいいから、この子だけは救ってください…」 「あっ、でも、この子の顔は見たかったなぁ」 その後、沙桜の寿命が尽き死亡した。享年24歳。 その最期の祈りが届いたのかどうかはわからないが、子どもの鈴淙は生き延びることができた。 二万円詩聖は、彼女の死後、海外での活動をより活発化させている。沙桜の研究も参考にして、今日も世界を旅しているのだった。 なお、彼女の小説はいまは絶版されているが、図書館に行けば読めるだろう。

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