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早百合は厳しい家に育った。 優秀な成績、素晴らしい人柄、魅力的な容姿その全てを求められたが兄や姉たちとは違い平凡な彼女はその期待に応えられなかった。 勉強だけは必死にこなし成績はキープしているが家族からの評価は底辺に近い。 劣等感に苛まれながら日々を過ごす彼女にとって友人たちと一緒にいる時だけが唯一何も考えずにいられる時間だ。とくに絶の優しさには救われていた。絶は早百合を否定しない。絶といるとこんな自分でも許される気がした。 しかしどこか不安でもある。いつかこの3人も離れていくに違いない。両親や兄姉たちのように嘲笑し侮蔑の眼差しで私を見るかもしれない。 どうしたら嫌われないだろう？どうしたら期待にこたえられるだろう？みんな私のことを本当はどう思っているのだろう？早百合の心の中には常に不安や焦りがある。 いつからか早百合は絶に特別な感情を抱いていた。絶といると胸の真ん中がぎゅっとなる。 それがいったい何なのか早百合にはわからない。 ――――――――――――――――――――――― 【グランギニョル】 早百合は絶の真実を知った。絶命した絶の表情を忘れる日はきっと来ないだろう。 学校に行くと絶と全く同じ顔のあの子がいる。あの日のことを夢に見た日には彼女の顔を直視することはできなかった。悠人と巧巳のふたりがいなければ早百合の精神は早々に駄目になっていたにちがいない。 あの日から３人ではなしていても無言になる瞬間が増えた気がする。弱い早百合を支えてくれている二人には本当に感謝しかないしあんなことを一緒に乗り越えた友人として信頼している。 だが早百合は二人にとって重荷になっていないだろうか？いつか自分だけ捨てられたりしないだろうか？ 早百合はときどき非常に不安な思いにかられるようになっていた。 ----------------------------------------------------------------- どこか遠い場所で 4人で笑えるのであれば。

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