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両親と姉が死んで頼れる存在が居なくなったことを、全て神という架空の存在に押付けることで自分を守っているとも言い、その責任転嫁が出来なければ彼は壊れてしまうかもしれない。 神という手が届かない存在が悪いと思えばどうしようもないと諦めも着くけど、犯人という人ならば手が届く存在だからどうしても抑えられなくなる。 ただ、神がいるならどうして家族が死ぬという不幸を退けてくれなかったのかという八つ当たりをしている。 それに、世界は人の手で発展してきていることと神は人に幸を与えないというところから、既に神は存在していないと思ってる。 神が幸運を与えぬことを恨み、神が不幸を与えぬことに安堵している。というか、家族を亡くした彼にとってこれ以上不幸だと感じることはきっともうない。 責任を全て架空の存在に押付けることで自分を守っているとも言い、その責任転嫁が出来なければ彼は壊れてしまうかもしれない。 じゃあ神父の自分は何を信仰しているかと言われると何も進行してはいなくて、生きるためには神父になることしか無かったというだけ。 そして、あれだけの凄惨な事件の犯人を捕まえられない警察には不信感を抱いている。 また、くだらない興味本位で人の不幸を強請り、自分を慰めるような存在など相手にする価値もない、と野次馬に嫌悪感を剥き出しにする。 簡潔に纏めたはずがさっぱり纏まってない。 島を出た彼は宗教に傾倒し、しかし神を嫌った。 八つ当たりだと自覚はしているが、頼れる存在がいないから神に頼ることしか出来なかった。 当然、捕まらない犯人にも捕まえられない警察にも不信感を持っている。 さらに野次馬に彼は嫌悪感を剥き出しにするだろう。 神は既に亡く、その実在しない空想の存在にしか縋ることしか出来ない哀れな存在が自らだと思っている(概ね事実)。 神が幸運を与えぬことを恨み、神が不幸を与えぬことに安堵する、それが彼。 責任を全て架空の存在に押付けることで自分を守っているとも言い、その責任転嫁が出来なければ彼は壊れてしまうかもしれない。 存在しない神は恨んだところで何も出来ないが、存在する人や物を恨んでしまえば壊すために行動し始めてしまうだろう自分を恐れている、というのが正しく、行動に移せる力もなく結果破滅してしまうのではないかという超ネガティブな思考回路のせいで、何もしてなくてもセルフでストレスを溜め込んでしまう厄介なタイプ。 なんかもう非常にめんどくさい人間だが、流石に取り繕うことは覚えており普段は至って普通の人当たりのいい人物である。 しかし事件のことや家族の事はそれなりに地雷らしく、特に親孝行という単語には激しく動揺する。 過去の事件で父と母は殺され、姉は家で焼け死んだ。その日は学校で1人残って諸々(宿題とか予習とか)していた為、自分は助かった。燃える家に入って家族を探し姉のみを引き摺り出すことに成功はしたものの、既にそれは亡骸であり自分も手足に火傷を負って今でも残ってケロイド上に引き攣り、細かい作業は不可能。 その後、何らかの模様を作るように並べられた多くの遺体から両親を見つけ、文字通りの天涯孤独となった。 せめて誰か1人でも生きていて欲しかったし、置いていかれるくらいなら一緒に逝きたかったという思いは今でもあるが、犯人がのうのうと生きているのに何故被害者の自分が死なねばならないと復讐心のみで今を生きている。心に負った深い傷はこの10年膿み続け、未だ癒えることは無い。 頭夢児島殺人事件 全生還の1ロスト() 島の奥にある村の跡地、そして自分の家があった場所、そこを通り抜けると家族の墓のある。 墓前に手を合わせて、家族に語りかけた。 「...それを父さんたちが望んだかは知らないけど。父さんたちを殺した相手は僕が殺せたよ。そしたらもう、何もしたいことが無くなったからさ。...みんなの方に行ってもいいかなぁ」 神を信じていない彼は、教えなど忘れたように自分の手首を切る。流れ出す赤に、軽く目眩がする。寄り添うように家族の墓に凭れて、彼は満足そうに目を閉じた。

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