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【「庭師は何を口遊む」HO1】 警視庁特殊犯罪捜査零課のチーフ。 四年前の結成当初より、並々ならぬ精神力を用いて個性豊かなメンバーを率いてきた。 メンバーに対しては信頼を置いており、やや放任気味。収集が付かない時のみ自身が出張ることにしている。 立場と生来の性格から、身だしなみには人一倍気を遣っており、常にガムと整髪スプレーを持ち歩いている。 見た目や雰囲気から、周囲からは生真面目で清廉潔白、融通が利かない人間と思われがち。 責任感が強く真面目な性格なのは事実だが、実際は清濁併せ吞む人物。 目的を達成するため、時として理不尽なことや本意ではないことでも心のうちにしまい込み、目標達成にむかって前進できるような、ぶれない強い精神力を持っている。 また、新米時代に負った怪我が顔面に残っている。 【相模原　涼との関係】 三年前に死亡した同僚で恋人の「相模原　涼」は一つ年下で、何かと抱え込みがちな東雲が唯一甘えることのできる存在だった。 零課結成から少し経った頃、重責などで心身共に弱りかけていた東雲の異変にいち早く気づき、彼の自尊心を損なわない程度にケアしてくれたのが彼女だった。 元々人に甘えたり頼れる性格ではなく、また大体のことはやってのける実力もあるだけに、そのように接してくれた人間は彼女が初めてだった。 初めて人前で涙を溢し、「俺はこうして誰かに甘えたかったのだ」と自覚できたのがその時。気づけば彼女に抱きしめられながら泣いていた。 それから個人的な付き合いが増えていき、やがて恋人の関係になった。 二人で仕事終わりに食事をしたり、互いの家でゆっくりと他愛ない話を語りあったりする無為な時間にこの上ない幸福を感じていた。 彼女と付き合い始めて、「今まで一人で何でもできると思っていた。もう彼女のいない人生は想像できない。俺は弱くなってしまったのかもしれない」と思うこともあったが、それすら許容できるほどの幸せな時間だった。ゆくゆくは結婚するつもりでもいた。 誰一人として普段凛々しく、誰の前でもしゃんとしている東雲が、彼女に甘え倒していると知る者はいなかったし、東雲自身も、気恥ずかしくて今更課のメンバーにも言えなかった。 三年前の事件により彼女を喪ってから、目に見えて喫煙の頻度と量が増えた。もう、苦笑しながら東雲の手から煙草を取り上げてくれる彼女はいないのだ。 新たに恋人を持つ気にもなれず、独り身を貫いている。 犯人―――「庭師」を挙げ、然るべき罰を与えることだけが、生前彼女にできなかった恩返しの唯一の手段と思い決め、今も事件を追い続けている。

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