タグ： 編呑 こと

誰そ彼の狭間、人喰いが目覚めるその時に彼と行きあった1人。落葉京生を浮世に結び留めるための錨であり餓えの共犯者。 呉服屋の一人息子。実家はそこまで大手では無く2代目である。彼は店を継ぐよりは独立して浅く広くやっていく方が性に合っていると考えており、番頭に後を継いで欲しがっている。 織梅という縁や幸せを結ぶ名前も呉服屋の一人息子という立場も重荷だった。倶楽部213に通っていたのは暇つぶしと現実逃避と、そんな人たちが楽しそうにしているのに混ざれば少しは軽くなるかと思っていたから。男色であることはぼんやり自覚していた程度。何となくで抱かれたことも抱いたこともある。心が強いゆえ何にも動かされなかった子。 落葉京生に倶楽部213で声を掛けられ、恋というには悍しい執着､欲を彼に対して持つようになる。仕草に見惚れたのか、姿が好みだったか、はたまた瞳の奥に宿る人喰いの素質に惹かれたか。とにかくここまで彼の心が動いたのは初めてだった。 京生のすべてが欲しい、が彼の欲である。最初はものだったり時間だったり自分の持てるものなら全て渡していたが、それでも彼の全ては手に入らないと気づく。初夜をこの時点で迎えていない場合はここで京生からあの日の話を聞くことになる。また食べているのは自分のはずなのに喰らわれている奇妙な感覚に満たされたことを自覚する。この日から彼らはともに餓え、満たす共犯者になった。梅、京、と呼び合うようになったのもこの日から。 現在は京生と同棲しながら緩く仕事をしている。京生よりは規則正しくない生活を送っている。 京生に対しては変わらない強い欲と、それでも自分から彼にできることは何もない寂しさを抱えている。しかし錨であることは理解し、利用し彼と共にある。

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