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（新） Louis Raymond【ルイス レイモンド】 生まれはアメリカであるが、物心着いた時から日本に住んでおりバイリンガルである。東京郊外の音楽大学にて〜〜 で、大まかなキャラ設定は同じ！妻は死ぬけどね！！！！ 3歳年下の教え子である杏梨と結婚し、順風満帆な生活を送っていた。 結婚して間もない頃に妻が病に倒れ、『貴方の音楽で見送ってほしい』という最期の言葉を残して昏睡状態となる。妻の願いを叶えるため模索する中、レイは音楽葬の存在を知り自らがその奏者となって送り出すことを決意。 曲目は杏梨が好んだ聴いていた『time to say goodbye』、相応しい曲だ。 葬儀屋に無理を言い奏者としての登録を得て練習も大詰めになった頃、レイは妻の病室を訪れた。 彼女の冷えた手を握り、現状を伝えた。 準備は整ったから…もう、いいよ。おつかれさま。 意識が無いはずの杏梨の手が僅かに握られたかのように思えたが、おそらく気の所為なのだろう。 そのまま、杏梨は静かに息を引き取った。 今でも、レイは教授として研究を続けながらとある葬儀屋の音楽葬専任奏者を続けている。 ただ単純に、妻の葬儀で見た親族たちの涙や拍手がこれまでになく暖かいものであった事を忘れたくないのだ。 別に神なんか信じていないが、人々の別れを数多目にすると死の意味も考えざるを得なくなる。 きっと、死とは人間に赦された最後の贅沢なんだろう。そんな様に思えた。 彼は、自らが手掛けた楽曲で今日も誰かの最期を彩り続けている。 〜〜〜〜〜〜 （旧） Louis Raymond （ルイス・レイモンド） 【略称】Ray（レイ） 音楽を奏でるためにこの世に生を受け、死にゆく人々を弔うために音楽を奏でる心優しい悲劇の音楽家。日本の音楽大学で教授をする傍ら、自身の追い求める音楽を形にし続けている。 誰が読んだか、レイ・ロウズ。日本には玲瓏(れいろう)という言葉があるが、これは玉が触れ合った際の音が美しく響く様を指す。彼が奏でる木琴の音は、刹那に消える澄んだ光の様な音色であると形容されている。 音楽家夫婦の子に産まれ、いとも容易く有名音楽大学に入学したRay。音楽大学院博士課程修了後、フリーランス音楽家としてスカースデイル州を拠点にソロ活動を精力的に行っていた。数多のコンクールで優秀賞を収める若手実力派音楽家であり、“100年に1度の天才”と呼ばれている。 ｢ああ、音楽とは、実に素晴らしいものだ｣ ———————— 彼の心には揺るぎないイデオロギーがある。 『死こそ至高の救いである。音楽は、それを彩る最期の花束なのだ』 ———————— 彼の最愛の妻は妊娠をしていた。産まれてくる子供はきっと、彼女に似て可愛らしい男の子であろう。 ある日、出産を目前に控えた妻が病に伏し、母子ともに危篤状態となった。彼はその日ウィーン国際コンクールに出場予定であり、｢今夜が山場。これを越えれば母子ともに健康に戻るだろう｣というドクターの言葉を信じ、コンクール出場を決める。 本番13分前、病院からの連絡で妻と子の容態が急変し死亡したと告げられた。 彼は声色を変えることなく｢…そうか、わかった。ありがとう。では、最期に｣そう言って舞台に登壇する。 曲目は、 『Ach Herr, lass dein lieb Engelein』 …ああ主よ、あなたの愛する天使を遣わされ、私の最愛の妻と子を安らかな眠りに導いてくださるのですね。そして、私は今その最期を、最高の舞台で、最高の音楽で、彩っているのだ… …いや、違う。主よ、あなたは私の妻子を導くことなんてできない。 私の音楽が、私の音楽こそが2人の最期に相応しいのだ。 彼は、木片と糸屑が織り成す静謐甘美な旋律を、まるで咽び泣き叫んでいるかの如く踊り狂い奏でていく。 優しく降り注ぐ春の木漏れ日のように、冷たく降り注ぐ秋の霧雨のように、繊細で壮大な音を紡いでいく。 最後の一音は、まるで全ての光を吸収して闇の奥底にそっと仕舞い込んでしまうような、命が燃えさかるほどに情熱的で、雪のように冷たい音であった。 「ああ、音楽とは、実に素晴らしいものだ」 見事、彼はコンクール最優秀賞を収めた。 公開されなかった審査員のコメントには『彼の音には、愛情と狂気、そして人を惑わす悪魔のような闇が在る』と綴られていたそうだ。 ・・・ コンクール後、表彰式にも妻子の病院にも現れなかった彼は単身日本に飛んでいた。 留学経験があり、邪魔になる血縁も要らない教えもない、ただ自分の記憶だけが残る日本へ。 実績もあってか、東京郊外にある音楽大学の講師兼教授としてすぐに働き始めることができた。 穏やかで平和な日々の中、早々にマリンバを専攻科目とした研究室を持ち、彼は、彼の信じる音楽を探し求めていた。 楽器に不向きと言われる材質での新しい鍵盤の作成や、電子楽器の最先端技術を応用した奏法の開発等、とにかくあらゆる形の音楽を探していた。 何か方法はないのだろうか…私の音楽が、生きる方法は。 ・・・ 程無くして、彼は一人の女性との出会いにより信じる音楽の形を見つけることとなる。 妻によく似たブラウンの髪、少したれ目で鼻筋が通ったスリムな顔のライン、淡い唇は荒れ切っている。美しい女性だ。 その女性は、今まさに、細く揺らめく青いライトの下、線路の上へと歩みを進めているところであった。 ああ、彼女は間もなくこの世界と別れを告げるのか。それならば。 彼は持ち合わせていた電子楽器をセッティングし、楽曲を演奏する。曲目は… 女性は少しの間歩みを止め、振り返る。 光を失った彼女の目が微かに細くなり、目尻には皴が寄る。ああどうして、そんなところまで妻と瓜二つなのだろう。 刹那、最後の一歩を踏んだ彼女の姿は消える。目の前には、けたたましい警告音を鳴らし続けながら急ブレーキ音をたてる電車が通り過ぎていく。 彼は一礼し、その場を去る。 これでいい。これが、いい。 ・・・ 世の中とは本当に便利で、残酷なものだ。 死を求める人はこの日本だけでも何千何万といて、容易に彼らとコンタクトを取ることができるのだから。 彼らにとって、求める死を受容し、彩り、背中を押してくれるRayの存在は過言なく「救い」である。 最期の日の段取りを組み、依頼者の希望の楽器で曲を演奏し、送り出す曲を花束として捧げ、彼らの最期を彩る。 Rayはこれを、自身の追い求める音楽の最高の形であると確信した。 今まさに私は、私の音楽を生きている。 死こそ至高の救いである。音楽は、それを彩る最期の花束なのだ。 彼は、愛する妻と子、死にゆく人々、そして己の信じる音楽のために、音譜を奏で続ける。

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