タグ： 丹頂 クトゥルフ

実直だが心優しい青年。 彼は母と二人で暮らしている。 中学生の頃、父が浮気をして家を出ていき、母は女手一つで自分と弟を育て上げてくれた。 しかし、日に日に父の面影が濃くなる自分との関係がぎくしゃくし始めたのもその頃だった。 それと同じくらい、母に似た弟への溺愛も。 素直に愛情を注がれる弟が羨ましい。しかし、兄と慕い懐いてくれる弟は自分にとっても愛しい存在だ。 そんな平穏が崩れたのは4年前だった。 4年前、６つ下の最愛の弟が釣りに出掛けたきり、遭難して行方不明になった。 母は酷く嘆き、ずっと泣き暮らしていた。彼は大切な母を支えながら弟の帰りを待っていた。 ある日、仕事から帰ると母は久しぶりに笑顔を取り戻してくれていた。嬉しくなって声をかけると、母は優しい笑顔で答えた 「おかえりなさい、カズ」 彼は母と弟が大切である。だから弟のように笑い、一人称を「僕」にし、彼女の世界を壊さないようにする。そこに彼がいなくとも。 彼は母と弟が憎い。俺はここにいる。俺だって家族じゃなかったのか。俺はカズじゃない。 実直で優しい彼は決して口に出せない本音を今日も心に積もらせる。 大切な人：母

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