タグ： 症候群PC’s 西原守

アウトドア派，暗黒の先祖(10) おっとっと、おーい大丈夫かな?あ、大丈夫そうだ。ゴホン。白(つくも)だよ〜。覚えてるかな?このメモ欄は俺が占領しましたー。はいどーん。東狐(とっこ)の説明は俺がしようかなって思っただけだから終わったらどっか行くよ。多分ね。 実を言うと俺は東狐がリーダーの組織に所属してるんだよねー。組織って言っても俺と東狐しか今のところ居ないけど。あ、人手は何時でも募集中〜。気軽に相談してね。名前も時には決まってないけど俺は仮に“狐”って呼んでる。どういう組織かと言うと、なんか魔術?とかちょっとオカルトチックなヤツから暴力殺人何でもござれって感じかな〜。まあ、特に決まってないけど善人は入らない方がいいね。……善人じゃない俺もまだ慣れないし。 おっと、東狐の説明だったね。東狐は自称玉藻の前のとぉーい子孫らしい。確かに美人さんだけど傾国は言い過ぎだよねぇ。ここにはもっともっといっぱい美人さんが居るしさ。…………あんまり言うと殺されるからここまでにしてよ。ゴホン。とにかく美人さんなんだよ。 なんとこの人、俺より歳上なんだよね。確か30くらいだったはず。美魔女って奴??怖いねぇ。………………俺、この人は冗談とか抜きに魔女だと思う。怖いねぇ。 この人の家に上がらせて貰ったことあるけどさ、なんか名前も知らない様な拷問器具がいっぱいあったんだよね〜。玉藻の前の子孫ってよりエリザベート･バートリの子孫なんじゃないの?金遣いが荒い人なんだけどさ、なんに使ってるかは考えたくない人なんばーわん。 なんかさ、人探ししてるらしいんだけど詳しくは教えて貰えないんだよね〜。確か名前は…… 『…………葛葉ちゃん??』 げぇぇ。東狐だ。じゃ、俺はこの辺で、ばいばーい。あ、入団に関しては前向きに考えといてよ！俺の健康の為にさ!じゃ! 『貴方の不健康はわたくしになにも関係ないじゃない。もう。ちょっと“脅す”とすぐ寝込むんだもの。困るわぁ。』 『…………貴方たちが彼から何を何処まで聞いたかは存じ上げませんが、深入りは禁物ですわよ。じゃ、彼の代わりにわたくしがこの場をお返しするわ。また何処かで。ごきげんよう。』 自称玉藻の前の子孫。御先祖さんが外国人なので金髪蒼眼。お嬢様だが特にお付の使用人等は居ない。こき使ってる大学生は居るけど。 彼女の性格を一言で表すなら残虐。昔から動物や人間を虐める(マイルドな表現)事が大好きだった。苦痛に歪んだ顔を見ることが大好きだったのだ。次第にそれは過激になってゆき、魔術やオカルトといった、非、現実的なモノに手を出す程になったのだ。 他人を虐める事よりも、もっとずっと大好きなものがある。それは父だ。世界一大好きだった。………………自分のことを化け物だと罵った母とは違い自分の全てを受け入れてくれたから。 ある日、突然父が居なくなった。死にものぐるいで探した。でもなんの痕跡も見つからなかった。諦めかけた時、たまたま父の日記が目に入った。内容は至って普通の内容。 ｢鳴石さんは本当に丁寧でいい人だ。｣ とか、その程度のなんともない日常の切り抜き。 鳴石…………………………こいつか。こいつが父を。 根拠なんてない。日記の内容が正しいのならば鳴石はいい人なのだろう。でも、自分はもう、怒りで狂い周りなんてろくに見えてなかった。藁にでも縋りたい気分だったのだ。 こいつを見つけ出して殺す。 もうそれしか頭に浮かばなかった。

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