タグ： 怪盗ロマネスク

強欲に燃える赤銅色と、暗闇揺蕩う鈍い金色。闇夜に紛れて華麗に舞う一輪の悪の華、それが怪盗【深紅】であるーーー 月宮香撫。しかしそれも本当の名前かどうか分からない。知っているのは両親が日本人だったという事だけ。赤ん坊の時に誘拐され、売られた先で酷い扱いを受け、逃げ出した先は治安の悪いスラム街だった。こんなクソみたいな生活は真っ平御免であると、言葉を覚えるよりも先に決死の覚悟で輸送船に潜り込み日本に帰ってきた。生き抜くためなら泥水すら啜る覚悟を持つ。 「生きます。何があっても。わたくしの死に場所はここじゃありませんもの。」 と、同時に彼女は思うのだ。「美しくなければならない」と。己の美貌は武器である。それを理解していたが故に、美への執着は凄まじい。 「ま、わたくし美しいので？」 怪盗を名乗るのは、己の育ちは変えられない、己自身の本質は変わらないと何処か諦めているから。真っ当な仕事など出来ないと。 「仕方がないでしょう？わたくし、こういう生き方しか知りませんの。」 盗む相手はきな臭くてヤバそうな奴らから、盗むのは宝石、宝飾品など。己を飾るに相応しい物を求めていると同時に、同じような境遇の子供への支援としている…というのは噂である。真相は闇の中。 「はぁ？わたくしが？支援？馬鹿馬鹿しい。わたくしが動くのは常に己のためですわ。」 取ってつけたお嬢様口調は己の過去を隠すため？その本心を知る人はいない。 「だって似合っているでしょう？」 得意武器は死にかけながらも覚えた拳銃。2丁は必ず携帯しており、両手で持ってぶっぱなすこともある。日本ではあまり使わないが海外では割と普通に使っているとか。 「数打ちゃ当たるとか言いますけれど、狙って2発当てた方が強いに決まってるじゃありませんの。」 なんでも死ぬほど嫌いな刑事がいるとか。 奴はいつかぜっっったい跪かせると心に決めている。 「あんのクソ刑事いつかマジでぶっ殺しますわ」

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