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宙を舞う蝶は人間の誕生と死を象徴する存在である。ーそう語る伝承は洋の東西を問わず存在する。 日本のとある街にも同様の伝承は残されており、古くから産屋に集う蝶は吉兆とされ、床に臥せた者を訪れる蝶は凶兆とされた。 その街にに根付いた伝承に対する畏怖や信仰は、久慈　揚羽というレネゲイドビーイングを生み出した。 伝承に対する人々の感情や、それを記録した書物、或いは信仰を形にした祠など、そういったものに レネゲイドウイルスが触れた結果、伝承が人の形を得るに至ったのである。 UGNが揚羽と初めて接触した時、彼は蝶を連想させる和装の少年の姿をしていた。 UGNが「あの町で人が死ぬとレネゲイドの反応が観測される」という報告を調査したところ、 死を看取る揚羽を発見したのである。この時、既に自我を得ていた揚羽は、人前では蝶の姿ではなく、 人間の姿を形どるようになっていた。 UGNは揚羽にレネゲイドに関与する3つの勢力---UGN、FH、そしてゼノス---について説明し、 自分たちの勢力に加わるよう説得した。彼はこれを承諾し、以後彼が発見された街の支部長として活動するようになった。 とはいえ、揚羽は使命感に燃えるような人物というわけでも、UGNの思想に共鳴しているわけでもなかった。 彼は人の姿を得て以降、人間の娯楽に没頭しており、それを守り続けるためにUGNという立場が適していると考えただけである。 彼は人の作り出す娯楽や嗜好品を好んでおり、人間にはこれらの文化をはぐくみ続けてほしいと考えている。 また、彼は嗜好品の中でも特に酒を好んでおり、中学生ほどの少年が朱色の盃に注いだ日本酒をあおる姿は支部内では日常の光景と化している。 最近は彼が発見された街の支部から別の街の支部へ転属するのではないかと噂されているが、その真偽は当人ですら把握していない。 オーヴァードとして力をふるう際には、影で編んだ蝶を媒介に猛毒と衝撃を伝播させ敵対者を打倒する。 揚羽自身は好戦的なオーヴァードというわけではないが、彼と敵対した者の目には逃れ得ぬ死の象徴として その姿が映るだろう。 なお、揚羽がレネゲイドビーイングとして自我を確立したのはつい2~3年前のことであるが、ぼんやりとした記憶は はるか以前から存在している。それは人の生死に際して現れた蝶が人前に姿を現した際に見た光景を彼が記憶として有しているためである。

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