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ネイト(Nate) 300年という永い時を生きる吸血鬼。 仲間も居らず、かと言って敵もなく、目的もなく過ごしていたら、いつの間にかこんなに時間が経っていた。 虚無である。 生来口数が多い方ではなかったが、数百にも及ぶ時の前に、無気力さも手伝って更に寡黙にさせている。 本来の性格はおだやかであり、世話焼きでまめだが、同族もいなければ、庇護しなければならない存在もいないため、現状に虚無感を抱いており、感情は擦り切れ気味。 やることと言えば、日がな一日眠って、起きて、星を眺めて、空腹を覚えたら腹を満たす。 それだけの日常に飽きている。 この永い時の中で、手慰みにスラムなどの行き場の無い“食料”である人間を飼ってみた事があるが、驚く程はやく死んだ。 あるものは流行病で、あるものは老いて、あるものは自ら命を絶った。 どれもこれも瞬きの間に零れ落ちていく。その儚さに驚いて、いのちの脆さに驚き過ぎて、涙が出た。 けれど、どのいのちもおいしかった。 同時に、自らが飼うには短すぎて、食料にとっては長過ぎて、だからこそきっと駄目なのだと思い、己は食料を飼うには能わないと、その行為をやめた過去がある。 食料である人間に対しては、食料、という認識はしているものの、終わりのある命であり、その短い生の中で命を繋ぎ、血を編んで、紡いでいく在り方に一定の敬意を持つ。 そのため悪戯に血を奪ったりはせず、必要な分を必要なだけ得るようなやり方をしている。 とにかくやることがないため、星の観察に精を出していたら、いつのまにかそこそこ詳しくなってしまった。

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