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一人称：私　二人称：きみ、○○ちゃん、○○くん、○○先生 （基本的に生徒はちゃん、くん。杏は二人きりの時だけ呼び捨てにしていた） 誰に対しても穏やかに、優しく接する。基本笑顔。 先生には敬語、生徒にはため口。 小さい頃から、笑っているより喧嘩をしている姿の方が圧倒的に多い両親だった。 喧嘩に巻き込まれて頬を叩かれたり、ご飯を貰えない事もままあった。 「あんたが居なければよかったのに」と母親から言われた時は、こんなドラマの中で出てきそうなセリフを吐く場面に自分が出くわすのか、 とどこか他人事のように考えて笑っていた。 そんな両親だったので離婚はむしろ納得だった。どちらが望愛を引き取るかで揉めていたのも知っている。それで傷付くこともなかった。 だが望愛を引き取った父が死んでしまったはさすがに想定外で。 この時望愛はなんだかんだ助けを求めれば手を差し伸べてくれるとどこかで期待していた。だって自分を生んだ人だ。 親なんだからそれくらいの責任は負ってくれる筈だと。 けれどどれだけ電話しても母とは連絡はつかず、結局父方の親戚に困ったように短いスパンでたらいまわしに合う生活が続いた。 今まで十数年の時を過ごしてきた家族の輪に入るのは簡単に出来ることではなかった。 息子がいた家などは最悪で、息子を誑かすなだの色目を使うなだのさんざん言われた。 そんな生活の中で自分は邪魔な人間なんだと思うのは自然な事だった。 自分はどこに属していても、迷惑な存在にしかならないのだと。 それでもいつか誰かを心から愛し、誰かに心から愛されたいと、心の片隅で願っていた。 肝心の愛情がどんな物かは分からないままだったが。 転校が続くせいで長く続く友達も作ることが出来ず、 頑張って何度も鏡の前で練習した優しそうに見える笑顔と、親戚の家族やクラスメイトの周りに溶け込む為の態度だけが処世術として染みついていった。 日々積み重なるストレスのはけ口として、中学～大学くらいまで周りにばれないようにリストカットを行っていたが、 社会人になった時に傷がばれたら尚更生きづらくなるなぁと冷静になり、無理やりやめた。うっすらとだが腕にその時の傷も残っている。 保健室の先生になったのは運よく色々取った中の資格が上手く就職に繋がったからで、なりたくてそうなったわけではない。 けれど基本的に保健室に一人でいればいい時間は静かで気が楽で、割と向いていたのかもしれないなと後から思うようになった。 杏が死ぬまで杏と付き合っていたが、生徒と付き合うことは今回が初めてではない。 別の高校で保険の先生をしていた時に生徒（男）から告白され、当然断ろうと思っていたが、そうする事で自分と同じ 「誰からも愛されない誰か」を生んでしまうことが可哀想で、断れなかった。 求められれば断れず、身体を重ねることもあった。 罪悪感もありはしたが、何だかんだで自分に好意を向けてくれる誰かに満たされてる気持ちもあって。 その居心地のいいぬるま湯から出られなかった。 それでも結局学生は自分が卒業するか桃江の学校が変われば自然消滅してしまうと予想がついていたので、 心を許し過ぎないようにしよう、と決めていた。 実際に今まで付き合ってきた生徒とは、予想した通りの結果になった。 なので別段心は痛まなかった。それからも、告白されれば他の先生や生徒に秘密でする「お付き合い」を何度かしている。 杏に出会ったのは望愛が今の学校に赴任してきてから数年後。杏が1年生の時。 水泳部の部活中に杏がけがをし、手当てをしに保健室に来たのがきっかけだった。 手当の間、沈黙を埋める為にぽつりぽつりと喋ってみても特段何か他の生徒との違いは見当たらなかったが、波長が合うような不思議な気持ちになり、 自分から「良かったら暇なときにでもお話しない？」と気まぐれで声をかけた。 初めは本当に用もないのに保健室に行っても良いものかと不安そうにしていたが、回数を重ねるごとにその不安も取れたのか、 いつしか保健室で一緒にお喋りをしたり、本を読んだり、授業や部活に支障がない範囲で遊びに来てくれるようになった。 この頃は、新しい友達が出来るみたいで嬉しかった。珍しく人と接することに前向きな気持ちになれた。 杏と話をしていくにつれ、杏に感じていた波長が合う原因が、もしかすると自分との境遇の近さにあるのではないかと気付いた。 両親から愛情を受けず、学校にも居場所を感じることが出来ない。 誰からも愛情を受けられていない杏は、まるでもう一人の自分を見ているようで。 思わず自分の境遇を初めて杏に話していた。 そうしたらもっと聞いて欲しくなって。 聞いてもらった分、杏の話をもっと聞きたくなっていった。 そんな事は、望愛には初めてのことだった。 付き合うようになったのは、杏が2年生になった夏休み頃、家に居場所がないからと保健室で宿題をしに来ていた杏に 「付き合わないか」と望愛が持ち掛けたのがきっかけだった。 告白されて付き合うことはあれど告白することは初めてで、ましてや同性同士に告白するなど嫌悪感から嫌われてしまうかもしれない可能性も考慮したが、 「愛情が足りないのなら、足りないどうして補い合うのが一番いい」と望愛は思っていた。 今までの生徒と同じで、そうする事でお互い満たされると。 たとえそれがお互いにとってその場しのぎのものであっても、仮初のものであっても無いよりマシだと。 告白をすることは予想以上に緊張した。杏の顔を見れなくて、上手に笑顔を作れなくなって咄嗟に目を伏せた。 杏が迷いながらも告白を受け入れてくれた時、今までとは違う湧き上がるような喜びがあったが、 それは初めて自分からの告白を受け入れてくれたから反動で緊張が解けて嬉しかったのだろうと解釈した。 生徒と付き合う方法には慣れている。だから誰にもばれないように慎重にひっそりと、けれど確実に距離を縮めていた。 手を重ねることも、絡めることも。抱き合うことも。それ以上の事も。 杏との思い出のほとんどが保健室に詰まっている。 杏と過ごす時間は穏やかで、話しているだけで心が落ち着いた。恋人のようにふるまえる時間は幸せだった。 杏が時折話す両親の事も部活の事も、足りない愛情は自分が一緒に居ることで、寄り添うことで埋められると思っていた。 どんな導入かにもよるが、今のところ杏が導入で自殺したらこんな感じになる指針↓ 導入で杏自殺をしたことを知った時、何を言っているのか理解するのにとても時間がかかると思う。 そうしてゆっくりとその事実を理解した時。望愛は杏が自殺するほど追い詰めれていたのかと、 もしそうであればどうしてそれを話して貰えなかったのかと、 結局どれだけ一緒に居ても信頼してもらえなかったのかと動揺することになる。 だが、直前まで一緒に居たのに普段より思い悩むようなそぶりもなかったので、 「本当に杏は自殺だったのか」と疑い始める。 自分が大して好かれていなかったかもしれない、その可能性から目を逸らす為に。 杏を殺した人物、もしくは杏を自殺まで追い詰めた人物がいるのなら、同じ目に遭わせてやりたいとポケットにカッターを入れるようになる。 （仮にポケットからカッターが出てきても落とし物を拾ったと言い訳できるので） その他メモ ・望愛は、望まれて愛されて生まれてきた子、という名前なのに実際は両親から望まれなかった、愛されなかった子って意味でつけた。皮肉。 ・保健室には杏がいつ来ても良いように、杏の好きなお菓子屋さんのバームクーヘンが置いてある。 ・爪の色は「アプリコット」＝杏色。新しく買ったもので、自殺した事を知った日に、杏に見せようとつけてきたものだった。 ・杏から教室と部活で居心地の悪さを感じていると聞いているので、表面的には優しく接するがHO1と2の事はあまり好ましく思っていない。 ・杏の事は心から愛していたが、誰かを好きになるのは初めてのことだったので自分では理解しきれていない。 興味P 回避→両親の喧嘩に巻き込まれそうになったり、たらいまわしにされてた家で嫌なことを言われそうになった時など。 カッター→自傷癖があったので、ある程度ナイフの扱いには慣れている。 図書館→友達もいなかったので本を読むのが趣味になった。 精神分析→自分で勉強したり、生徒の相談に乗ることもあるので。 以下、頂いたHO内容 ■HO3 「HO③先生は優しく話してくれる」 ・あなたは保健室の先生です。白衣を常に着用しているタイプです。 以下、秘匿内容 ▼過去 あなたの両親は幼い頃に離婚しており、中学生の時に自身を引き取った父親を亡くしています。元母親とは連絡が取れず、父方の親戚を転々とし誰の愛情も受けず、誰にも心を委ねることができず孤独の人生を歩んできました。いつか誰かを心から愛し、誰かに心から愛されたいと思っていました。 ▼自殺した生徒について よくあなたがいる保健室に来ていた生徒です。そしてあなたはその生徒と「生徒と教師」以上の関係を持っていました。彼女もあなたと同じで両親の仲が悪く家庭で居場所が無いと話していました。HO①先生が担任のクラスでも、HO②先生が顧問の部活動でも居心地が悪いとも話していました。あなたは本人から聞いた事なら彼女の事について様々な事を知っています。 クリア済みシナリオ 【ソープスクール】ENDB

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