タグ： 咲亜o

彼女はオレと共に登山家をしていた。しかし彼女は一度、デスゾーンで命を落としかけて山を降りることになった。彼女は呼吸器を患い、二度とデスゾーンの先にある頂を目指すことが出来ない体になった。しかし彼女は山を完全に諦めることが出来ず、今も山家として初心者登山家達に指導を行っている。 オレは彼女の恋人として、将来の伴侶として山家を手伝っていた。近々お互いの両親の元へ挨拶に行くことになっている。しかしオレは未だ登山家としての活動も続けている。単独登山はもとより、登山隊を組んで海外へ遠征することもある。しかし活動拠点は日本のままだ。結婚することになれば、海外遠征も今よりぐっと数が減ることになるだろう。今回の狂気山脈第二次調査隊にも、友人のツテを頼り自ら志願した。しかし彼女は自分が遠く離れた地で前人未到の地への登山を行うことを強く反対した。 今まで通り必ず帰る、登頂を成功させる。そう言って説得しても、彼女は珍しく頑として首を縦に振らなかった。半ば喧嘩別れのような状態で家を飛び出し、飛行機に乗ったところで彼女から一通のメッセージが届いていたことに気付く。 「お腹に居るこの子のためにも、必ず生きて帰ってきて。」 彼女はどうやら妊娠していたらしく、数日後のオレの誕生日に妊娠を報告するつもりだったらしい。誕生日は一緒に過ごせそうにはないけど、戻ったらちゃんと謝ろう。 添付された画像は、まだ男の子か女の子かも分からない、愛しの我が子が写っているエコー写真だった。

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