タグ： 砂上の都に花は降りて

ユースィフ・イル=アドナーン・タージェル 旧姓:浩然(はおらん) 年齢:24歳 性別:男 職:ターウースキャラバンの隊長 出身:武周 「よっ、今日も相変わらずゴテゴテの金ピカだな。ま、あんただから似合うんだろうけどさ」 「金ってのは物差しだ。そこの空き瓶の価値も、俺の信用の価値も、わかりやすく示してくれる。さて、あんたの価値はいくらになるのかな」 若くて気のいい垢抜けた異邦人。 泥まみれのクソガキから宝石まみれの貴婦人までたらし込む人の良さにお日様のようなポジティブシンキングを持ち、その日陰で商人としての冷ややかな価値観を備えるハイブリッド変人。 普段はある男から継いだターウースキャラバンの隊長をしており、隊長の名に恥じない売り上げやコネを築いている。「金作りの鷹使い」という異名を持ち合わせているとか。 そんな一軍男にも弱点はあるようで、商人のくせにラクダ乗りが下手くそで基本的に部下に乗せてもらっているという情けない一面がある。 彼を知る者が広めた話によると、未だに杖をついて歩いているのはラクダ乗りに失敗したからという事らしい。 本人は否定しているが実際下手なので多分本当。 よくこのネタで子供達に弄られる。悔しい。 因みに仕事は二の次で普段は遊び呆けている。酒に女に金にズブズブで基本的には歓楽街を練り歩いており「クズの見本市」とか影で呼ばれているらしい。 失礼だな。 父はアズハール、母は武周の良いとこの出身で息子と鷲を含め三人と一羽は武周で生活していた。10歳になる頃、武周王朝内で起きた政変に巻き込まれて母親が毒殺された事で、父親が旧知の奴隷商に掛け合いアズハールへ奴隷として息子を逃す決意した事によりアズハールへ生活の場を移すことになる。 その後、浩然のある才能に目をつけた奴隷商人が一人で生きる力をつけさせる為暗器術を教え、王朝へ両親の復讐を果たさせようとするが、その間近にターウースキャラバンのイル=アドナーンに買い取られた。 アドナーンはアズハールについて常識や知識、言葉、教養を徹底的に叩き込み「浩然」を「ユースィフ・イル=アドナーン・タージェル」と名付け、自身の後進とした。 そんな日々を過ごしていたある13歳の誕生日に、アドナーンからプレゼントをもらう。それは遠い地に置き去りにしてしまった愛鳥の亡骸と、その愛鳥の卵だった。 甲斐甲斐しく世話したこともあって無事卵に命が宿り、その雛鳥にユースィフは「飛龍(フェイロン)」と名付ける。 そんなこんながあってダラダラと日々を過ごしていくうちに20歳を迎え、誕生祝いにアドナーンから隊長を押し付けられて晴れてターウースキャラバンの隊長となる。 それから4年。 今は24歳。 「金作りの鷹使い」やら「クズの見本市」やら呼ばれるまでになり、そして今度は王宮で姫の衣装を選ぶ仕事が舞い込んできたらしい。 「人生何があるかわからないな」とかぶつくさ呟きながら、今日の商いに使うあれこれを鞄に詰めたり、夜の歓楽街の予算を見積もったりと要らん支度をせこせこしている。

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