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つばきやま しょうこ 人間というものは実に面白い。殊子供に至っては大変興味深い点が多い。 私は植物を生み出す事が得意の一つだ。植物に知性を与え、そうあるように誘導する。 一度私に触れられた彼らは、一夜にして私の思いのままに成長するのだ。 人間は花が好きだ。故にある花にはこう命じた。「人間を見つけたならば摘まれるまで土から抜け出しその人間を追い続けよ」と。 また人間は木に安らぎを求める。故にまたある木には「寄りかかる人間には永遠の安らぎを与えよ」と命じたのだ。 彼らは私の命令を全て完璧に再現して見せた。が、どれも人間側が受け入れることはなかった。 全く人間というものはわからない。求めるはずもの与えても拒否されることが多かった。 大好きな人間、我が愛すべき人間。どうすれば喜んでくれるのだろうか。振り向いてくれるのだろうか。 時折、私の作った花を面白いと笑ったあの娘や、私に礼を述べ眠った少年を思い出す。 私が彼らを思い出す頃には彼らにはもう会えないことなど、出会う前から分かりきっていたことだ。 だが、もし人間になれるならば、彼らと同じ時の流れの中で生きられるならば、あのような感情をもっと長く大切に育てられるのだろうか。 私は、人間…彼らと友達になりたい。 人間として下界に降りた際は青髪金眼で長身の小学校教諭として振る舞った。女性性が強く出る。 人間受けを良くするため、チャビという名の猫を連れ歩く。 チャビは憧子自身によって生み出された猫のような生き物というだけで猫ではないらしい。 また憧子の専門分野は植物であり動物ではないため、チャビには一つ重大な欠陥があった。 こいつ、喋るぞ。脈絡のないことをぺらぺらぺらぺらと。しかも制御できない。 そこで憧子は人間の文化のなかには腹話術というものがあると知り、チャビの垂れ流す言葉の羅列は全て自身の腹話術によるものということにしている。

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