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海も枯れるまで7BAAE6 ――― しろがねこはく 20歳 無気力で、自分が死んだと思い込むコタール症候群のような素振りを見せる。大学では文学部で思想や哲学を学んでいたが、最初の頃だけで大学にはほとんど行っていない。学生時代は友達も多く明るい性格だったが今は笑うことはほとんど無い。 俺/あんた ――― 子どもの頃から、恵まれた容姿のおかげで多少困ることはあれど彼を脅かすものなどなにもなかった。 クラスで孤立することはなかったし、宿題を忘れても頼めば大抵の人は二つ返事でノートを貸してくれる。楽しい方へ流れていけばいい。勉強しなくてもきっと自分は生きていける。 付き合ってたのはアホみたいな不良ばっかだったけどカースト1番上で気持ちいいし、楽しい。 高校三年の終わりに免許を取ったのが学校にバレて免許証を没収されるのも青春だな、程度の認識だった。 そうして出来上がったのは空っぽな人間だった。 大学で知り合った先輩に薬をすすめられ、何も考えずに違法薬物に手を出してしまう。 この頃から自傷を始める。 誰かの家や溜まり場の空き家で過ごすことが多くなり、大学にも行かなくなった。その頃には流石に｢やばいのかも｣と彼らと縁を切ろうと考え始める。 住んでいたアパートは帰らなくなった頃に引き払ってしまっていたので、ひとまず実家に帰ろうと車を出した。 もうだめかもしれないけど、きっとまだやり直せる。そんなことを考え焦りながら運転していた彼は、人を轢いてしまう。 通報する勇気も後ろを振り返る勇気も持ち合わせていなかった彼は、そのまま車を走らせた。 (轢き逃げについてはその後、こはくが轢くよりも前に他の車に轢かれて倒れていたことが発覚し、こはくが加害者ではないとして解放される。ただ一つの幸運だった。) 以降轢かれて死ぬ夢を頻繁に見るように。 その後はやはり実家には帰らず死ぬ思いで来た道を戻り、引きこもって過ごしている。薬物のこと、大学のこと、轢き逃げのこと、自傷のこと、言えるようなことは何一つなく、どうせなら1からやり直したいと思っている。神や自分を救ってくれる存在を強く求めている。 ｢俺はもう死んでるから。でも人生はまだ終わんないみたいでさぁ…。｣ ｢俺が悪かったよ……。｣ 「もういいじゃ〜〜〜ん！！！不幸はさぁ！」 海も枯れるまで 迎 ヨア 2021.2.9

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