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マンガ編集者志望の大学3年生。ジャーナリスト志向も強く、大学では漫研に所属して編集役をする傍ら、 Webライターとしてサブカルチャー関連のジャーナルを発表している。 北海道江別市の実家に両親と5つ下の弟がいる。 正直特筆することのない普通の市民である。 思ったことを素直に口にし、こうと決めたことは迷いながらも全うする頑固な面がある。 子供のころに弟に対して姉ぶろうと振舞ったことがきっかけで 同年代以下の相手に対する二人称に『君』を使う癖や、～～だろう、～～ではないかい？といった 性差を感じさせない、年長者が年下に話すような口調が身についてしまっている。 実はラテン語に明るく、ある程度なら翻訳できる。 弟のことは一歩引いて見ている、と当人は思い込んでいるが 周囲からすればゴリゴリのブラコンである。 何時頃からか、星喰美命という女性と同居するようになった。 ・不用意に他人に明かせない秘密 　貰われ子であり、両親と弟とは血が繋がっていない。 　特に何不自由なく過ごしてきたため、出自そのものにコンプレックスはないが 　ゴチャゴチャ言ってくる人間が思いのほか多かったため、普段は詳らかにしていない。 　他人には絶対に明かさないが、仲のいい間柄には屈託なく話せる程度。 ：魔女の匣庭 全員が首謀者の思惑に反した行動をとり、結果的に企ての遂行を実質不能としたことで見限られ解放される。 友人らもを誰一人犠牲にすることなく生還した。 ：Good nihgt, My Love 一人の少女と友好を温め、最終的に共に生きることを選択した。 たった1時間余りの交流で、その後の人生を大きく左右するかもしれない選択をしたが 少なくとも今は後悔はしていない。 謎の男に対しては複雑だが、最終的に美命を連れ出すことができたことには感謝している。 ==================================== 1826文字。それがここ1時間の私の作業実績だ。 知り合いのwebライターから誘われた、web漫画のレビュー企画。普段漫研で扱っているものとはなかなかに風味の違う作品だらけだが、それだけに面白い。 リレー形式の連名作で読み込むほどに味わい深くなる複雑な伝奇物。web媒体を活用した奇特なギミックに塗れたモーションコミック。SNS連載で裏表のアカウント間をザッピングする私小説風の作品。 面白い……のは結構なのだけど、正直、濃い。みんな濃い。フルコースの肉と魚だけをどんどん食べさせられている様な疲労感だ。フルコースを食べたことはないが。 タチが悪いことに、どれも面白いので手の止め時が掴めない。ええと、次はどのーー。 甘い香りがして、意識が断ち切られた。 振り返ると、キッチンに立つ同居人の姿が見える。買い物に出ていた筈だが、帰宅したことにも気付かないほどパソコンに齧り付いていたということか。 私の視線に気付くと、彼女はふわっと微笑んで、手元のティーセットを指差し、口をぱくぱくさせる。 おちゃにしましょう、か。 無意識にほおが緩むのを自覚する。 コーヒー党の私だけど、この頃はとんとご無沙汰である。 現在この部屋のトップトレンドは紅茶が牛耳っている。 少し前からの同居人が淹れる紅茶の、その味ときたら。私を改宗させるに十分なものだったのである。 生リンゴで作るフレッシュアップルティー。 皮だけでなく、果肉ごと銀杏切りにしたリンゴをポットに敷き詰め、アッサムティーを注いで数十分保温するのだとか。 初めはポットに浮いた果肉を見て驚き、温めたカップに注がれた液体の甘味に驚き、砂糖は入れていないのだという悪戯げな言葉に三度驚いた。 以来、私はすっかりそのアップルティーのファンになってしまっている。 読みかけの不可視の猪による殺人サバイバルパニック漫画を閉じ、そのままパソコンも閉じてソファへ移る。こんないい匂いを嗅いでしまっては、仕事などしていられない。 紅茶の蒸らし上がりを待ち遠しく感じながら、目線をカゴに盛られた林檎の山に向ける。 林檎。知恵の実。アダムとイヴ。楽園追放。原初の罪。 おおよそ創作関係者なら一度は連想しそうなキーワードから、さらに思考は飛躍する。 未来世界、神の招来、人類滅亡、アンドロイド、少女の罪、誰かの罪、誰のものでもある罪。 ……発想が飛躍、しているわけではない。 少なくとも、私と彼女の間ではこの全てが密接につながる。 誰に言っても、おそらくは家族ですら信じられないような怪異……そう、怪異だ。 同居人……星喰美命は、人類が滅んだ未来から過去――こちらの世界に引っ張り込んだ――タイムトラベラーである。 最も、星喰美命という人物そのものは、こちらの世界にも存在していたようだ。 仔細は端折るが、こちらの世界の美命の救うとある試みによって、未来の人類は滅んでしまったのだ。 そして、その凄惨な滅びを以てしてもなお、美命の命脈を保つまでには至らなかった。美命は、命数を使い果たす寸前だったのだ。 そんな彼女と私が……まあ、いろいろあって出会い、一週間ほどキャッキャウフフとお話をして……ええと、まあ、その因果を捻じ曲げることに成功した。ちょっと、不可思議な存在に頼って。 ……ただし「こちらの世界でのあらゆる縁を断つ」という代償と引き換えに。 だから、この世界では「星喰美命」という人間は存在しないことになっている。 あの日から、毎日のように考えている。彼女の運命を捻じ曲げ、人の縁を断ち切り、t大切な両親と姉の存在を奪い、ひょっとしたら未来で朽ちるよりも遥かに苦難の多い生を押し付けてしまったのではないかと。 あの時、不可思議な存在……あのいけすかない男は「美命こそが罪」だと言った。 家族が娘のために狂い、その他一切の命を散華させるに至った元凶なのだと。 娘が病気でなどなかったら。明日を望んでなどいなかったら。あんなことにはならなかった。 神の招来などという不遜に縋りさえしなければ、人類は滅びることも、いと畏き神が、人如きの為に呼び出されることもなかったのだと。 そりゃそうだ、と言うのは易い。 実際あそこでは人類は滅んでしまったのだから、滅んだ側からすればたまったものではないだろう。 けれども、彼らは"そうしたかった"訳じゃない。ただやり方を違えただけだ。 勿論、そう言ってしまえるのは、私が被害を受けていない他人だからなのかもしれない。 でも、人が未来を望むことを、明日に希望を抱くことを罪というのなら、人は何のために生きているというのか。 当たり前のことを願った少女に対し、運悪く道を違えた親の因果を報いさせるなんて、そんな馬鹿な話はない。 第一、それじゃあ本当に、何もかも無駄だったことになってしまう。 こんな言い方は好きではないが……美命を救うために奪われた命さえも、水疱に帰してしまう。 ……あの時はそこまで考えていた訳ではないけど、とにかく私は私のわがままで、彼女を私の世界に連れ出し、責任をとって同居を始めた。 いつの日かその選択を後悔する日が来るかも知らない。 戸籍も何もない人間など、どれほどのトラブルを生むか想像もつかない。 けど、彼女は生きているのだ。 いつか訪れる後悔など、彼女を死なせる理由には到底足りやしない。 滅んだ世界で命数を悟り、冷たいアンドロイドのために残り少ない命を燃やし、最後まで寄り添おうとした、優しくて孤独な少女の、涙のその重さが。 そんな現実的な生臭いデメリットより軽いはずがないのだ。 だから、私は自分の選択を後悔はしない。 少なくとも、しないつもりである。 そりゃまあ、うんと苦労するだろうけれど。 それがどれほどの辛苦であっても。 この甘く芳しい、アップルティーの代金には。 私の美味しいという言葉に咲く、その可憐な微笑みの代価には届かぬほど安いものだろうから。 ：とある家（略） 両生還エンド 致命的なネタバレを含む為、キャラシート上に記載はしません。 後日該当シナリオを通過した卓メンバーのみ個別にWiki登録します。 ：星を漱ぐ白波 両生還エンド ：救いに非ず 生還 彼女は幸せにならなければならない。その自負と責任がある。

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