タグ： カケスの巣

元々は間宮家の人間ではない。 戦災孤児で、貧民街で独り強かに生きていた時にどういうわけか間宮の家に拾われた。 その後は間宮家で徹底的に使用人としての教育を受け、潮見家に仕えることとなった。 背は低めで顔立ちも美しいが童顔気味の為、全体的に年齢より若く見える。 かなり要領が良く、機転が利きおまけに動きも俊敏。 使用人としての教養がさほどある訳でも無いが、独流で体術のようなこともそれなりにできる為、半ば護衛のような役割も担っている。油断を誘う見た目であることは自分でもよく理解している為、それを利用することもある。 生きる為に必要だったとはいえ、どんな悪事でも持てる手段全てを使ってきたという自覚はあり、自らの過去も一生消せるものではないと思っている。 その為真っ当に生きる職を与えてくれた間宮家には深く感謝している。 間宮家に入る前に一時期、国軍の軍事施設で危険を承知で労働していたことがある。相当な器用さと政治的な思惑は理解しないが賢い孤児の子供ということで、他の児童労働者に比べるとかなり重宝されていたようだ。当時は上にバレないように重機をいじることが趣味だった。 それなりに取り繕うことは上手だが本来の言葉遣いはいまいち。素が出るとたまに戻る。 表面上は基本的に愛想が良いが、生い立ちのせいか人に信頼を寄せるまではかなり時間がかかる。 また、碧本人は潮見家というより、令嬢個人に忠誠を誓っている。 [令嬢との関係性] 凛に出会ったのは彼女が10歳頃の時。当時今よりも随分とお転婆で勝気な凛にいきなり、自分の使用人になるのなら実力を証明してみなさい！と勝負(？)を吹っかけられ、剣道の嗜みがある彼女の剣を全て躱しいなしてみせた。(これから主君となる人物に剣を向けるのはどうかと考えた為、あえて躱すだけに留まった。) 当初の印象として随分高飛車なお嬢様だな、と考えていたが、凛の態度に虚勢や家を守る為の手段のひとつであることを見出してからは考え方を改める。 10代半ばの使用人として働き始めたばかりの頃は仕事に慣れず、失敗も多い時期があった。それなりに器用である自負が傷つけられたことも相まって、やはり自分には後ろめたく思わずに生きることのできる人生なんて無理なのでは…となんとなく気落ちしていた際、凛から「この自分が認めたのだから、しゃっきりなさい！堂々と誇りを持ちなさい！」という激励を受ける。その後も度々華族として、使用人の振る舞いについて意気揚々と教える令嬢を見ては密かに奮い立っていた。 現在の凛はその頃の自分を黒歴史のように思っているようだが、碧の方はたまにやんわり蒸し返してからかうようなことを言う。最も、凛も今となっては想像もできないような、仕事に慣れない頃の碧を見て育っているので似た者同士ではある。 今も完璧であろうと振る舞いながらも、どこか危うい凛の良き理解者であろうとしている。 また、正しく努力をして進む凛のことを眩しく、愛おしいものだと感じている。 身分はおろか、後ろめたい過去を持っている自分は令嬢に相応しい相手ではないと、すっかり自らの恋心には諦めの気持ちでいる。今はただ彼女が幸せになることを見守ることができれば…と願っている。

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