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大体窓の外を眺めていて何考えているかわからないと言われるタイプの美術教師。メインは絵画。だが何故か美術室は様々なタッチで描かれた星図で埋め尽くされている。イラスト描きと空を見るのが双方好きな結果変な混じり合い方をした。 趣味は星図を描くこと。実際の空を描くこともあるが、空想の星図を描くこともある。昼も夜も暇さえあれば空を眺めて空想の天を作り上げている。 何を考えているかわからないが何か憂いた顔で外を眺める横顔は映えるので生徒からの人気は厚い。高身長細身儚げひ弱イケメン。 中学一～二年の間、二年間入院していて、その間窓の外を眺めて絵を描くこと、星を見ることを趣味としていた。小学生の頃の友人にも恵まれ、親も頻繁に面倒を見に来てくれていた。何より、毎日通ってくれる妹、杏がいた。 とても仲のいい兄妹だ。性別も違い、年齢も離れているが気の置けない、互いに互いを愛し合う兄妹だ。杏は僕の絵を見てよく笑ってくれる。杏は僕に笑顔でいっぱいお話をしてくれる。杏は僕を愛している。僕は杏を愛している。 ただ、立場が変わってしまった。両親は離婚してしまい、名前も住む家も変わってしまった。お話をする機会もなくなってしまった。でも兄妹の関係は変わらない。 杏が僕の勤務先である中学に来た。嬉しかった。僕は担任の教師でも部活の顧問でもない。毎日遠くからでも顔が見られるだけで僕は十分だった。 杏も中学生、思春期真っ只中だ。女の子であればなおさら人間関係も複雑になるのだろう。先生と血縁、しかも両親が離婚済み、なんて話が出回ったら杏が苦労してしまう。杏との距離が遠い。でも、互いの顔が見れるだけでも十分だ。 いなくなってしまった。時折教室や部活で居心地悪そうにしている姿を見かけた。保健室に出入りしている姿も見かけた。何故僕に何も言わずに逝ってしまったのだろう。せめて放課後に僕のところに来てくれればよかったのに。学校で顔を合わせづらいなら連絡をくれればよかったのに。 杏は何故自殺したんだろう。何故僕に言ってくれなかったのだろう。何故。何故、何故、何故。 学生が自殺なんてそんな異様に珍しいことでもない。精神的にも不安定になりがちな時期。家庭内での不和。不透明な未来に対する不安感。学校という閉鎖空間の中でいじめ。何かを苦にして自殺する子供は、いる。 じゃあ、杏は、何故、僕に何も言わずに自殺したんだろう。何故、杏だったんだろう。 僕はただそれが知りたい。杏が死んだ理由が。何があったのか。原因となる人間がいるなら誰なのか。ただ、知りたい。 可愛い可愛い僕の妹が、帰って来てくれた。 ソープスクール

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