タグ： 亜月式英 英景家 振斗 一人二役三文芝居

特徴:手先が器用、平凡な容姿 職業:俳優 職業ポイント:EDU×10+APP×10 職業特記:APP+1。ファンに対する信用に10%のボーナス 英景 琢美(えいけい たくみ) 27歳 女性 英景家出身の女性。生誕時に授かった武器は「マクミラン TAC-50」という対物ライフル。 高校生の時に街中でスカウトされた事をきっかけにモデル業を始め、現在は主に女優として活動している。かなりの多趣味である事でも知られており、受け答えの明瞭さも相まってか様々なジャンルの番組に出演している。 「才色兼備」という言葉がまさに相応しく、学生時代からその人並み外れた容貌や全教科で高成績を保ち続ける優秀さにより周囲からは一目置かれていた。とはいえ高嶺の花が過ぎて孤立していた訳でもなく、寧ろ琢美はその愛嬌の良さに起因する親しみやすさにより友人はとても多い方だった。 その友人の内の一人に、近々藤恋乃美という女性がいる。学生時代に同じアニメを見ていた事をきっかけに仲良くなったらしく、何かと人生がゴタつきがちな近々藤によく助け舟を出している。ちなみに彼女にライフルを教えたのも琢美。思いの外物覚えが良く、元から射撃趣味もあった自分にすぐに実力で追いついてきた時はかなり驚いたとのこと。 極秘事項。琢美は女優業をしながら、道堂組の一員としても暗躍している。高い演技力や変装能力が活かせる殺し屋やスパイなどを主に担っており、また、芸能人である自分にしか探れない情報の入手などもしている。飽くまで本業は女優と言っているが、道堂組としての貢献度もかなり高い。 『それでは、学芸会の配役を決めたいと思います！みんな、どの役がやりたいかなー？』 「はいっ！わたし、お姫さまがやりたい！」 『さんせーい！』 『たくみちゃんにピッタリだよね！』 『たくみちゃんが1番かわいいもん！』 「ほんとほんと？わたし、やっていい？」 『他にお姫様役がやりたい子はいるかなー？』 『たくみちゃんでいいと思いまーす！』 『たのしみだなー！たくみのドレス姿！』 『早く見たいね！』 『…うーん、他にやりたい子もいないみたいだね。それじゃあ、お姫様役は琢美ちゃんに決まりかな！大事な役だから、頑張ってね！琢美ちゃん！』 「はーい！えへへ、みんなありがとっ！お姫さま役がんばるね！」 『……………』 「ねえねえ、××ちゃん。××ちゃんは何の役にするー？」 『えっ、あっ、私は……村娘！村娘にしよっかな！』 「村娘かー！村娘さんの衣装もきっとかわいいよね！××ちゃんの役もたのしみだなぁ、がんばってね！」 『……うん、ありがとう…がんばるね…』 「うん！いっしょにがんばろ！！」 「………ふふふっ……」 綺麗な薔薇には棘がある。 琢美は殆ど誰も知らない様な裏の顔を持っている。それは「(特に自身を原因にして)嫉妬などのマイナス感情に囚われる人間が大好物」という歪んだ性癖だった。 自分がどれだけ頑張っても涼しい顔で全てを掻っ攫っていく存在が近くにいた時。ついこの間までは格下だとナメ切っていた相手がいつの間にか自分より遥か高い位置にいた時。人間は様々なシチュエーションで、敵わない相手を敵わないと気付きながら、しかしその事実を胸中で無理やりに否定し続け、そうして対象を見上げながらドロドロとした負の感情に苛まれる。 琢美にとって、そんな状態の人間は何よりも己を興奮させるものだった。 元来彼女は対人観察眼が優れていた。例え表面上は取り繕おうとしても、自身に向けられる刺々しい視線は全てお見通し。そんな相手に自ら接触を図り、その嫉妬感情が更に加速しそうな言葉を投げかけ、案の定苛まれる相手を観察する。そうして優越感に浸る、歪に愛でる。それをする為に、何でもない様な顔をしながら人知れず努力をして、非の打ち所のない人間であり続ける。それが、英景琢美にとっての平常である。 幸か不幸か。英景家出身の琢美は親戚同士の距離感が一般的な家よりも近く、その為にある人物と接触する機会によく恵まれていた。 琢美の従兄弟にあたる人物、英景辺華斗である。 幼い頃から辺華斗の事をよく見ていた。よく知っていた。だから、気付いていた。 彼はいつでも笑みを崩さない。余裕を持つ。常に三番手程度であり続け、余力を残す。敗北を喫したとて、ほんの少しも悔しがっている素振りを見せない。そして事実、彼は悔やんでなどいない。 昔から、彼には何をしてもそうだった。笑顔で行ったあらゆるアプローチは徒労に終わり、それを幾度も繰り返していけばいくほど、琢美が辺華斗に抱く執着心はより確固たるものになっていった。 引き出したい、引き出したい。いつも笑んでいるあの男の、何事にも全力を出さないあの男の、英景辺華斗の、感情がグッチャグチャに乱されて、苦悶に歪んでいる、その顔を。 英景家の一員として少しでも皆の役に立ちたいから。そんな方便で足を踏み入れた道堂組も、本当は一足先に入っていった辺華斗を追いかける為だけのものだった。副業と言い張りながら功績を残して、時には誰かの命さえも己の手で消し去って、そしてそれを知る辺華斗の顔色を伺う。 彼はまだ、笑っていた。 琢美は英景辺華斗の隙を探し続ける。女優と道堂組、その二つの顔をどちらも完璧にこなして、愛らしくも美しい笑顔を湛えながら。 あらゆる嘘を見抜ける英景辺華斗にとっては、名女優の取り繕いすらも三文芝居に過ぎないのだが。

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