タグ： 星を手繰る

【概要】 「こんにちは、僕は植田鋼也っていいます！　気軽にコウって呼んでくださいね！」 明日の行く末すらわからない激動の時代に、彼は安定を手に入れた。意地の悪い本性を押し隠し、人に好かれる人柄を演じることで、穏便に平和に日々を過ごしている。持ち前の器用さも相まって、仕事は順調。人間関係にも恵まれ、仕事に趣味にと人生を謳歌している。 そんな充実した日々を眺めながら、彼は心の中でいつも小さく絶望する。 「なんて小さな日常なんだろう」と。 【性格】 ニコニコと人当たりの良い、明るくフレンドリーでユーモアのある好青年……に見せかけているものの、その中身はとてもひねくれた男。笑顔を振りまくそのさなかに、心の中で周囲に毒づいている。穿った態度で物を見て、シニカルな思考で結論を出す。そんなねじ曲がった本性を形作っているのは、現状への不満と物足りなさだ。 「生まれる場所が違えば、自分はもっとすごい奴になれたのだろうか」 安定した今の日々に、本来なら不満を持つ必要はない。けれど、周りと自分を見比べるたびに、彼はそんなことを考えずにはいられないのだった。 【趣味】 趣味らしい趣味はなく、大抵はその時仲の良い人と同じことをしている。彼にとって趣味や娯楽は、人と話をするためのツールに過ぎない。 それでもあえてあげるなら趣味は読書。知見を増やすことは彼にとって面白いことだ。そしてなにより、満足に学校に通えなかった彼にとっては、学ぶことは自分が得たかった時間を取り戻す感覚に近いのかもしれない。 彼はとても器用で自頭もそこそこいいため、大抵のことは何でも器用にこなす。それは趣味に限った話でもないが。 【来歴】 彼は決して裕福ではない平民の家に生まれた。彼は4人兄弟の長男であり、家のためにも早くに働きに出ることを期待された。周囲の子より少しだけ聡明だった彼は、いろんなことを学びたいという意思を持ちながらも、仕方ないと割り切って早く働きに出る道を選んだ。 子供のころはいたずら好きで一筋縄ではいかない性格だったものの、働き始めた頃に「好青年だと思われた方がいろいろと得だろう」と思い、人前では猫をかぶって真面目にふるまうことにした。そのため、昔の彼を知っている人が今の彼を見たら「誰だ」と思うかもしれない。 25になり、大きくなった弟たちも働き始めたためか、最近両親にもう少し自分のやりたいことをしてもいいと言われた。だが、彼は、今更生き方を変えることもできず、技師としての小さな安定を守る日常を続けている。 そんな今の彼が、もし自分の昔なじみが立派な人生を歩んでいると知ったならば、嫉妬の感情を抱いてしまうかもしれない。 サンプルセリフ 「誰が使うかわからないからこそ、すべての仕事に全力で取り組む。それが技師ってものですから」 「趣味ですか？　読書ですかね。知らないものを知るのって、すっごく楽しくて」 （ふん、また怒鳴ってるのかあのじいさん。周囲に当たり散らかしても、自分の無能さを晒すだけってどうしてわからないのかね） 【その後】 夢見るバカを知った彼は、自分の夢を探し始めた。 探究の果てに答えを見つけられたかどうかは、彼ですら知らないことだ。

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